2005年11月05日

本田透『アストロ!乙女塾!』

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『マンガでわかる小説入門』でさんざん批判される「文章の視点のブレ」がこれでもかと展開されるすばらしい作品。なにしろ文章修行において襟を正して兜の緒を締め直したばかりの状態のときに読み始めたものだから、頭が痛くなることしきり。しかし気が付けば、横溢する本田ルサンチマンがすっかり馴染んできて、キャラクターがつっぱしり始める頃には楽しい読書の時間となっていた。
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すがやみつる・横山えいじ『マンガでわかる小説入門』

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このタイトルを聞いたときは「とうとう小説の書き方まで漫画でないと説明できない時代になってしまったか」とあきれたものだが、それもまたよし、横山えいじ様の新刊とあらばなおのことよし、と飛びつく。すがやみつる氏のするどい視点は、文章修行を志す諸兄にはたいへん役立つことと思う。

読んでいて興味深かったのは、主人公が繰り返し「君はなぜ書くのか?」と問われること。業界スレしてしまった先輩が、書くことに対する情熱を失ってしまったと自己分析している姿もグサリときた。

「人はなぜ生きるのか?」。人生の局面において、繰り返し問われ、自問するだろう。人生の仕組みとか裏側の事情とか、そんなものばかり頭に入れてばかりの現代人は「生きる」という行為そのものにスレてしまっているのではないか。生きることは苦しみ続けることかもしれない。が、それでも生きるのだ。気が付けば、生きること自体が楽しくて仕方ない。そんな大先輩たちを見習いたい。
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『語ろうZガンダム!』

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ゼータガンダムという作品を語るのは難しい。(いわゆる)ファーストと比べても、作品が成立した時代背景が複雑になってるし、その結果としての作品の内容と評価も複雑になっている。世代毎の受け止められ方も驚くほど乖離している。おまけにこの二〇年間で評価の浮き沈みも相当なものだ。

ぼく自身、極私的なゼータ語りをいくつもエントリーしているけど、包括的にゼータをとらえるのは難しく、また、そこまで付き合うのはいかがなものか?とも考えてしまう。ゼータとはそういう作品なのだ。

ともあれ、二〇年の時を経て甦るゼータを前に、いろんな人が熱く語っている姿は、それだけで面白い。

じつは、「本当はゼータガンダムなんかよりももっと評価するべき富野作品、いっぱいあるよね」と思っている。が、あの苦くて生き辛かった時代を反映した「機動戦士Ζガンダム」という作品がこうして甦ることができるなら、そのことをフラットに受け止めるのもわるくはないだろう、とも。
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梶尾真治『精霊探偵』

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この手の「幽霊モノ(?)」に慣れている人だと、主人公の秘密なんてのはスグに気が付くのかもしれないけど、ほとんど免疫のなかった自分にはなかなか面白いどんでん返しだった。しかし、その彼らの選択はどこか苦くて、手放しで喜べるものではない。それはたぶん、死というものが間違いなく間に挟まっているという事実によるものだろう。
posted by 多村えーてる at 12:36| 奈良 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | BOOKS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする