本郷みつる監督作品ということで、期待半分、覚悟半分。
いやはや、いろんな意味で本郷作品でしたよこれは。
しんちゃんの作画までがどことなく本郷監督時代の顔つきになってるのが印象的。少なくとも最近のテレビシリーズとは違う感じで(スタッフまでは研究してないから意図的なのかどうかはわからないけど)。
初期の本郷監督時代の映画って、いちばんしんちゃん人気の高かった時代なので観客動員数はすごいんだけど、いまみるとちょっちつらいんですよ。間が持たないというか。少なくともカウチポテトにはむいてない。本当監督ってダンドリとか組み立てとかさえ嫌ってるんじゃないかってくらい、その場その場のネタで突っ走っていくところがある。ドラマツルギーをどこまで薄味にしてもドラマツルギーたり得るか挑戦してるんじゃないかってくらい。その薄まりきったところでクライマックスにイテマエ!とばかりに突っ走るから、なんだか映画としておもしろかったような錯覚をおこさせる、それが本郷マジック。そんな作風だから、テレビ作品の最初の1クールのつらいことといったら(笑)。
『キンポコのゆうしゃ』も、そんな本郷メソッドがピタリあてはめられていて、とにかくもう、いまどうなっているのか、映画がどこにむかっているのかも分からないくらいの低空飛行。日常描写の積み重ねが、いつもの日常なのか、ちょっと狂ってるのかも分からなくなってきたときに、一転、決定的に狂った状況が描かれて、登場人物も観ている我々も「ええー!?」となって、物語が急加速。そこから二転三転する様子は、本郷監督の真骨頂……なんだろうな。そういった、ドラマとしての不安定さが何よりもこの作品の不気味さにつながっているのが本作の特徴。夜中に一人目が覚めたしんちゃんが、どこか不思議空間になっている夜の春日部市を徘徊する様は、クレイジーさと無邪気さと世界の不安定さと自由さと……とにかく怖いだろそれ。
(クレしん映画を理解するためのサブテキスト決定版)
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posted by 多村えーてる at 16:56| 奈良 |
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