おもしろくない人間などいない。昨年秋に買った『宇宙ロケットの世紀』[Amazon] [bk1] を読み終えて、そのまま続けて読む。いやぁ、おもしろいのなんのって。豊富な写真資料を堪能しつつサクッと読み終わる。それにしても、ソユーズ2号は無人だったというのは、どの資料にも記されている話。『宇宙ロケットの世紀』にだってそのように書いてある。それが、この本によると、イワン・イストチニコフという一人の宇宙飛行士と一匹の犬が乗り込んでいたというのだ。彼らは原因不明の事故で姿を消してしまい、時のソ連邦は徹底的な証拠隠滅をはかる…。なんということだろう、これは宇宙史を書き換えてしまうほどの新事実ではないのか?
人の運命は星の歴史とおなじ。
一つ一つが独特で、孤独で、かけがえなく
似たようなものは他にどこにもない。
もし誰かが沈黙のうちに
世の片隅でひっそり自足して生きていたとしても
取るに足らないその生き方そのものが
その人をおもしろくするのだ。
人は誰でも自分だけの秘密の世界をもつ
最高の瞬間はその世界に隠されている
もっとも悲惨な時もそこに隠されている。
だが他人であるわれわれは何も知らずに過ごすのだ。
そして一人の男が死ぬとき
彼の最初の雪も死ぬ
最初の口づけも、最初のけんかも
すべては彼とともに消える。
たしかに残る、本は、橋は
機械は、画家のキャンバスは
たしかにこれからも姿をとどめるものはある
しかし何かが逃げ去ってゆく。
それこそ、この容赦ないゲームの法則。
人だけが消えるのではなく、世界が消えるのだ。
この世に生きた罪人のことをわれわれは覚えている
しかし、本当は、かれらの何を知っているというのか?
ところが、である。巻末の隅っこに、小さな文字でこんなふうに記されているんだよね。
*本書『スプートニク』は、解説を除き、すべて作者ジョアン・フォンクベルタによるフィクション作品です。な、なんですとぉー!?