原作コミックをひっぱりだして読み返す。
ふむ、たしかにあのセリフもあるし、そんなシチュエーションもある。
でも、まったく違うね。このバンカラで行動的な女性こそをが素子だし、そのそばで踏んだり蹴ったりしながら、妙にうかれているのが(笑)バトーなのだ。
けして素子といい関係な相手、ましてや人形つかいに素子をとられたさみしい中年のようなおっさんじゃない。バトーがそんな老け込み方をするような存在じゃあない。
やっぱり押井作品なんだなって思う。
そして、この原作コミックは、その作品が制作された89〜90年という時期だからこそ表現できた「何か」をはらんでいる。
だから、この作品を「原作に忠実に」映像化しようとすると、クレイジーな出来損ないになってしまうか、「イノセンス」だったり「SAC」だったりしてしまうのだろう。メディアをトランスレートするというのは、そういうことだろう。