「漫画家」をネタにしたシリーズの第二巻。前作『漫画家超残酷物語』が持っていたネタ元作品(永島慎二『漫画家残酷物語』)に対するリスペクトがなくなった分だけ、作品としての立ち位置がゆるくなっている本作は、むしろ生々しくもありがちな漫画業界のゴシップをドロドロと描くことにフォーカスがあたっているようだ。
そのためか、二回に一回はオチナシエンド。漫画家の生態は、生きている限り何らかのグダグダを抱えたまま続いてくという、そのまんまをぶつけているからなのだろう。
ネタのいくつかは自己言及としか思えないようなものも多い。デビュー以来、ひらすら多作にかけぬけ続けてきた唐沢なをきだから描ける血のにじむ叫びである。血を吐きながらのレースは生きている限り続いていく。こちらも生きている限り彼の作品を追いかけ続けていく所存である。
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