岡田斗司夫氏の『オタクはすでに死んでいる』を補完するテキストとして買っていたんだけど、いろいろあって読むのが今になってしまった。二人の「オタク事始め」のようなバックボーンや国際的な視点からみたオタク論、循環型経済としてのオタク社会などは、わりとおなじみの話題かもしれないが、それはともかく、注目するべきは今のオタクが明解に定義されていることである。
岡田斗司夫氏は、「2008年現在の」と限定しながらも、「旧作のリアルよりも、現実のファンタジー化を求める」、これが今のオタクであると定義している。
その的確すぎる指摘にはなるほど、とうなずくばかりだが、感心していれば済むのかというと、どうもそうではない気がする。
「現実のファンタジー化を求める」と書くと聞こえはいいが、その行為が社会を変革させていく推進力ならばかまわない。しかし、実際に発露している物事は、むしろ正反対に向かっているような気がしてならないのだ。
現実を受け止める基礎体力を持たないで、何がファンタジー化か。
2008年のオタクが、許されざる思想なきテロリズムを跋扈させる根源とならないことを祈りたい(しかしそれを象徴するかのような出来事はすでに起こってしまった……)。
小さな対談集なので、読み始めればほんのわずかな時間で読み終わるだろう。
『オタクに未来はあるのか!?』[Amazon]
2008年06月11日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック