岡田斗司夫氏は、「2008年現在の」と限定しながらも、「旧作のリアルよりも、現実のファンタジー化を求める」、これが今のオタクであると定義している。
その的確すぎる指摘にはなるほど、とうなずくばかりだが、感心していれば済むのかというと、どうもそうではない気がする。
「現実のファンタジー化を求める」と書くと聞こえはいいが、その行為が社会を変革させていく推進力ならばかまわない。しかし、実際に発露している物事は、むしろ正反対に向かっているような気がしてならないのだ。
現実を受け止める基礎体力を持たないで、何がファンタジー化か。
2008年のオタクが、許されざる思想なきテロリズムを跋扈させる根源とならないことを祈りたい(しかしそれを象徴するかのような出来事はすでに起こってしまった……)。
小さな対談集なので、読み始めればほんのわずかな時間で読み終わるだろう。

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