「アップルとグーグルは似ているところとまったく異なるところがあるよね、それを比較しながら読み解いていくとおもしろいよね」という観点で書かれた本書。目の付けどころはけっこう面白いと思う。特に「グーグルは水道をつくろうとしている、アップルは蛇口に専念しようとしている」という見立てなどは、両者の立ち位置をうまくあてはめていると思う。アップルがインターネット以前の企業で、ソフトだけでなくハードという肉体を持っているのに対して、グーグルはインターネット以降の企業で、仕組みのみで肉体を持たないという指摘も興味深い。グーグルとアップルが「共創していく」といった公式なコメントはなかったと思うが、その両者がそれぞれのテリトリーでうまく共生関係を築いている様子は、両者には何らかの暗黙知が構築されているということだと思う。
そんな両者の関係を紹介しながら、(おそらく林氏が手がけたのであろう)第三章では日本の携帯電話事情を取り上げ、警鐘を鳴らす。日本企業にブレイクスルーを促すのは最近の林氏のテーマとなっているようだ。
小川浩・林信行『アップルとグーグル』[Amazon]
ともあれ、iPhoneが来月いよいよ日本でも販売開始されるわけで。そのことが単純に待ち遠しくて待ち遠しくて。
2008年06月18日
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