……これはやられた。ピンボールである。ピンボールをテーマにした恋愛コメディ。そんなもの見たことも聞いたこともない。学生時代はけっこうやったな、ピンボール。ピンボールは当時だとレイダースといった人気映画タイトルを冠したものが増えてきた頃だったろうか。ボールをスリングしたときのドギュンとした感触や、ボールがステージを転がっていくときのゴロゴロといった重量感、そういったものまで本体に添えた両腕から伝わってくるのがピンボールなのである。
あこがれの「山田さん」に高校卒業ギリギリになって告白した主人公、「条件があります」と連れて行かれたのがゲームセンター。そして彼はピンボールと出会う。3億点というハイスコア、それを超えたら付き合ってもいいと言う彼女。惚れた女を口説くためといういささか不純な動機からはじめたピンボールであったが、その奥深い世界に次第にのめりこんでいく……。これはおもしろい。本人たちも最後に語るではないか。「この一年、たのしかったよ」と。
久しぶりにピンボールがしたくなってきた。ボールをロストして「あぎーっ」と叫び声をあげ、「もう二度とやらねーからなっ」と憎まれ口を叩き、そして、そしてふたたびコインを投入するのだ。
とよ田みのる『FLIP-FLAP(フリップ・フラップ)』[Amazon]
2008年06月25日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック