世の中には「1分間で1冊読める」という人もいる。「本はじっくり味わうようにして読みたい」という人もいる。前者もまさかガルシア=マルケス『百年の孤独』を1分で読んでしまえとは言わないと思うが(言わないよね?)、1分間で1冊を読むという行為は、完全に従来の読書観とは違ったパラダイムを持っている。読書術の本の多くは「まず目次を読め」という。極論すれば目次だけ読んでおしまいでもいいという。「最後まで読まなくていい」という。ピンとこなければさっさと次の本に移った方がいいと。おまけに多くの本は著者の言いたいことは最初の1/3ぐらいに集約されているから、少なくとも最後の1/3は付け足しなのだと。このあたりは著者の執筆術にもよるのだけど、売れている本を出している著者の場合はたしかにそういうこともある。
さて、そうやって少しでも効率を上げて、少しでも多くの本を読めと、多くの本が主張している。たぶんそれは間違っていないのだろう。しかし、この1分間で1冊の本を読む方法を解説している本は、ひたすら高速にページをめくり、すべてのページに触れるようにと説いているようだ。同じようなこと(すべてのページに指紋をつけるべし)を書いている本もあった。
いずれにせよ、いかなる方法であれ、大切なのは自分で実践して、自分の技にすることだろう。
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日垣隆『ラクをしないと成果は出ない』[Amazon]
ガルシア=マルケス『百年の孤独』[Amazon]
2008年10月08日
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