
小学生の頃、週刊少年チャンピオンを読み始めたときに連載していたのが『チョッキン』で、その頃から吾妻ひでおのことが気に入っていたから、吾妻ひでお作品との付き合いはけっこう長い。秋田書店の漫画文庫で『やけくそ天使』をみつけて、吾妻ひでおってことで手に取ってみると、とってもアダルトな内容で面食らったり。『やけくそ黙示録』や『チョコレートデリンジャー』あたりがお気に入りなのは、いわゆるロリコンブームやら何やらよりも、少し前の吾妻ひでおが好きだったからなんだと思う。実際、『ななこSOS』なんて、ななこのかわいらしさは素晴らしいのかもしれないけど、話自体はわりとどうでもいいものが多かったよね(笑)オレンジのダンシングまぶしいわ。
自分の漫画嗜好がどんどんマイナーなものに傾倒していくにつれて、その少し前を吾妻ひでおが走っていたから、氏の作品は常に自分の目の前にあって、それが当たり前のように思えていたのに、いつのまにかピタリと姿を消してしまった。「ガス会社でガテンな仕事をしているらしい」なんて話を何かの漫画情報誌でみかけたのは、それからもっと後の話。
『海から来た機械』とか『ろーりんぐ・あんびばれんつ・ほーるど』とか読みながら、「あじまはこれからどこへ行くんだろう」とワクワクしてたら、文字通り行方をくらましていたというのだから、笑うに笑えない。警察に保護されて、警察官の中にファンがいて、「先生ほどの人が!」なんて言われたり(その他ではほぼ100%誰にも漫画家として知られていなかったらしい)。
しばらくして、何事もなかったかのように作品が発表されるようになって、でもアル中で線がヘロヘロになってたりする中でも、『銀河漂流』などを読むと「やっぱりいいなぁ」と思っていた。
いま思うと、学生時代に描いていた漫画の絵柄で影響を受けた人として「坂口尚」「さべあのま」「安彦良和」と続くそのもうひとつ前に、吾妻ひでおが居たような気がする。
『失踪日記』の中で、さべあのま女史の『シングル・ピジョン』を読んだ氏が、「シロウト(言葉わるいなぁ)がこれだけ自由に描けているのに、プロの俺がなんでこんなに苦労しなきゃならないんだ」と嫉妬したっていうエピソードがあったりして興味深い。
吾妻さんと一緒にみんな、頑張ろう!!