2006年08月31日

富野由悠季『リーンの翼』

総監督のインタビュー以外は、ガンダムエースの記事なんかもなるべく読まないようにしているので、2巻まで観た段階では、どういう物語なのかさっぱり分からないままというのが正直なところだったりする。分からないから、気になる。なにこれ?どうなっていくんだ?という興味でひっぱっていく手練手管は、いかにも最近の富野作品らしい。謎めいてもったいぶった見せ方なんて一切なくて、ひたすら事象が展開していくあれよあれよという様で興味を持続させる力技。最終巻まで無事リリースされたら、通しで観るのがいちばん正しい観賞法なのかもしれない。

富野監督の指示で絵コンテに極力忠実に構成されたというコミックは、読み手が時間軸をコントロールできるという点でも、本編よりも理解しやすいかもしれない。うちの再生環境のせいかもしれないけれど、登場人物たちの声のハリみたいなものがいまいちピンとこなくて、そのあたりも吹き出しに書かれたセリフを追っていくほうが情感豊かに受け止められるのだ。

もっとも、ビジュアルもセリフまわしも、富野的な快楽原則を重視したつくりになっていると思われるので、あまり小難しく考えないで、そこらにありがちなアニメとはまったく違った手触りの一本として、ストレートに味わうのが正解かもしれない。ふと「文系型システム構築世界」なんて造語を思いついてしまうバイストン・ウェルが、今様のアニメーション技術でディテールアップされていくだけでも、ある種のおたのしみなのかもしれない。べつに宇宙世紀だけがハイエンドになっていく必要なんてないんだから。

いっそこの調子で惑星ゾラやペンタゴナ・ワールドもハイエンド化されてもおもしろいだろうなぁ。総監督ご本人は、そんなことにはこれっぽっちも興味ないかもしれないけど。

3巻は9月末発売。以下毎月発売のスケジュールどおりに果たしてリリースされますやら。

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posted by 多村えーてる at 13:29| 奈良 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 駄目チネラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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