富野監督の指示で絵コンテに極力忠実に構成されたというコミックは、読み手が時間軸をコントロールできるという点でも、本編よりも理解しやすいかもしれない。うちの再生環境のせいかもしれないけれど、登場人物たちの声のハリみたいなものがいまいちピンとこなくて、そのあたりも吹き出しに書かれたセリフを追っていくほうが情感豊かに受け止められるのだ。
もっとも、ビジュアルもセリフまわしも、富野的な快楽原則を重視したつくりになっていると思われるので、あまり小難しく考えないで、そこらにありがちなアニメとはまったく違った手触りの一本として、ストレートに味わうのが正解かもしれない。ふと「文系型システム構築世界」なんて造語を思いついてしまうバイストン・ウェルが、今様のアニメーション技術でディテールアップされていくだけでも、ある種のおたのしみなのかもしれない。べつに宇宙世紀だけがハイエンドになっていく必要なんてないんだから。
いっそこの調子で惑星ゾラやペンタゴナ・ワールドもハイエンド化されてもおもしろいだろうなぁ。総監督ご本人は、そんなことにはこれっぽっちも興味ないかもしれないけど。
3巻は9月末発売。以下毎月発売のスケジュールどおりに果たしてリリースされますやら。





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