坂口尚『坂口尚短編集 第2巻・紀元ギルシア』
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何となくもったいなくて買いっぱなしになっていた坂口尚全集をぼちぼち読み進めています。
この本のタイトルは覚えている。当時、単行本も買ったはず。なのに、その記憶がぽっかり欠落しているのはなぜだろう。たぶん、坂口さんのやろうとしていたことに何か抵抗感があったんだろうなぁ。十代半ばのガキンチョだったから、ほとんど理解できてなかったのかもしれない。
漢字と音の組み合わせを、ぼくたちの知っているモノから微妙にスライドさせて取り扱う表現は、たしか士郎正宗氏が『仙術超攻殻オリオン』でやっていたなぁとぼんやり思ったんだけど、ギルシアのほうが5年以上先にやってるわけで、ひょっとしたら士郎氏も参考にしていたかもしれない…なんて思ったり。
もっとも、「来夢来人」なんて喫茶店はずっと昔からあったわけで、元々横文字文化が日本に入ってきたときにフランスを「仏蘭西」って表記したりと、日本人はそういう言葉の工夫と変容を繰り返してきたわけで、いつの誰がオリジン、なんて判定は詮無い話かもしれない。
坂口さんの描くキャラクターは、黒目に一本横筋が入った、独特の瞳が印象的で、本編の主人公もやはりいつもの「坂口顔」をしている。ライバルキャラの描き方などはかなり大友克洋テイストが混入されているような印象を受ける。意識していたかどうかは別にして、そういう時代だったんじゃないかなぁと当時を思い返す。
この作品に出てくるメカはどれも魅力的だ。最近、攻殻機動隊の食玩が発売されて、タチコマのミニチュアがたいへん人気を集めているわけですが、ふと、坂口メカも精密なフィギュアとして立体化されないかなぁって。ワンフェスあたりでは、じつは坂口メカの造形にも出会えたりするのだろうか。
追記:コメントいただいてちっとも返事書けませんが、みなさまいつもありがとうございます。
2004年03月03日
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