神林長平『麦撃機の飛ぶ空』
[Amazon] [bk1]
ずっと単行本にまとまる気配のなかった短編をひろいあつめた作品集。
ヒヨコ舎なるマイナー出版社からのリリースなので、神林長平に優しい書店でないと入荷しなかったり即返されてるかも。うっかりすると入手困難になる可能性も高いので、早期入手するべし。
並製だけど紙ジャケットをつけて感じのいい装丁にまとめあげているね。値段が高いのは…むう、星雲社を通しているんじゃ仕方ないか。
2004年03月09日
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早川から出版の分は、チェックしていましたが、これは全く知りませんでした。
以前は神林長平作品置いてある書店はとても少なかったんですが、「戦闘妖精雪風」がOVA化されてから、入手しやすくなり、発売日当日に購入しそこねてもなんとか普通に買えるようになりました。
しかし、確実に手に入れるなら予約した方がよさそうですね。
神林ファンは身近に少なく、あまり一般受けするとも思えないので薦めたりもしていません。
しかし、あの独特の筆致と世界観が大好きです。
人間の心とか抽象的なものについて書いているのに、特定個人の感情とか心理描写にはあまり深く突っ込んで描かれていない作品が多いように感じます。
私が読んでいて一番面白いと思うのは、その発想と、それについての描写というかアプローチの仕方です。
他の作家だったらそうは描かないだろうな、と感じる部分に惹かれます。
作品ごとにムラがあるとも、しばしば思いますが。
光文社文庫の作品がすべてハヤカワ文庫に収録されましたから、それ以外といったら、徳間文庫に持って行かれた分と、文春の『言壺』とカドカワ(?)の『ラーゼフォン』ぐらいかな。bk1などのオンライン書店で「神林長平」で検索してみるといいですよ。
ぼくはもう十年ほど前から、日本のSFは梶尾真治と神林長平だけで十分、という偏った考えに至っておりますので、SFファンの友だちともなかなか話しが合わないことが多いです(苦笑)
ハヤカワ(純正)の作品は、それほどムラがあるとは思ってないです。光文社文庫の作品は、ちょっと違ったことをやろうとして失敗しているところとかありますけど(^^;) 強いてあげるなら『帝王の殻』『猶予の月』あたりがしんどかったかもしれませんが、どの作品も味わい深くて好きです。いまあげた2作品は単行本で読んで以来ほったらかしなので、ぼちぼち再読してみようと思っています。
今回の短編集は、これまで作品集にはまったく収録されなかったような短編、ショートショートに近いものがたっぷり収録されています。ぼくが神林長平は短編には向いてないと思っているのですが、なかなか興味深い作品集になっていますよ。
今年は最新作の『膚の下』の単行本が出るはずです。こちらも楽しみ。初の長編として書き下ろされた『あなたの魂にやすらぎあれ』から続く火星三部作(?)の完結編だそうで。「あなたま」も高校生のときに読んで以来そのままになっているので、『膚の下』が出る前に読み返しておこうと思います。