
このタイトルを聞いたときは「とうとう小説の書き方まで漫画でないと説明できない時代になってしまったか」とあきれたものだが、それもまたよし、横山えいじ様の新刊とあらばなおのことよし、と飛びつく。すがやみつる氏のするどい視点は、文章修行を志す諸兄にはたいへん役立つことと思う。
読んでいて興味深かったのは、主人公が繰り返し「君はなぜ書くのか?」と問われること。業界スレしてしまった先輩が、書くことに対する情熱を失ってしまったと自己分析している姿もグサリときた。
「人はなぜ生きるのか?」。人生の局面において、繰り返し問われ、自問するだろう。人生の仕組みとか裏側の事情とか、そんなものばかり頭に入れてばかりの現代人は「生きる」という行為そのものにスレてしまっているのではないか。生きることは苦しみ続けることかもしれない。が、それでも生きるのだ。気が付けば、生きること自体が楽しくて仕方ない。そんな大先輩たちを見習いたい。