『女性自身』に連載された作品だという。掲載媒体にふさわしく(?)、独身女性が主人公。SF的な味付けはギリギリまで薄めてあるのも対象読者への配慮なのだろう。それでいて、そのしかけがラストのオチで決まるところなどは、じつにカジシンらしいと思った。
独身女性たちがことあるごとに集まっては、うまい料理を食べ、うまい酒を飲んでいる。いまどきの妙齢の女性の生活シーンって、こんな感じなんだろうなと思わせるシチュエーションだ。女同士の友情関係が、ひとりの男性の存在で微妙にすれ違ったりぎくしゃくしたりしていく様も、生々しい。主人公の受け身な性分が、いかにもカジシン好みなキャラクター。女性読者たちのシンパシー具合は、いかに。
梶尾真治『アイスマン。ゆれる』[Amazon]
2008年06月02日
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