2018年03月13日

神林長平『オーバーロードの街』をようやく読み始めました










 
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2011年11月27日

Apple Design

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1997年に刊行された『Apple Design』の続編、ではないようです。
ジョナサン・アイヴが手がAppleの製品を手がけるようになった1997年ごろからのプロダクト、特に翌98年に発売された iMac 以降のものを中心にまとめた一冊。
ハードカバーに切欠きを入れた装丁が凝ってる。
Amazonで四千円を切る値段で購入できた。日本の出版物だと、いろいろとこうはいかないだろう。
日本語版が出る気配はなさそう。

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Apple Design[Amazon]

 
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2009年05月22日

ふくやまけいこ『ひなぎく純真女学園』第2巻

祝、第2巻発売。
話題のふくやまけいこ先生、初の百合もの第2弾です。
作品紹介ではそんなふうに書かれているけど、べつに百合ん百合んな描写があるわけでもなく、オンナノコたちが輝いていて、お互いをまぶしい存在に受け止めて「いいなー」って思っている、そんな感じです。考えてみれば「女学生モノ」みたいなのは過去にも短編で描いていたし、登場人物の中の女の子が女の子のことを「いいなー」って思うような描写はしょっちゅうあったので、ふくやまワールドとしては別段不思議なことではないのかも。

ボクは残念ながらオンナノコではないけれど、心の中の乙女回路を全開にして、彼女たちが輝いている様を「いいなー」と思いながら読んでいます。

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ふくやまけいこ『ひなぎく純真女学園』第2巻[Amazon]
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2009年04月07日

青木俊直『なのはなフラワーズ』第1巻

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はるか二〇数年の昔、「青木俊直第一作品集」と記されたその単行本『なすのちゃわんやき』を初めて手にした時の衝撃はいまも忘れない。漫画とはこんなにも自由に表現していいものなんだと、その本は教えてくれた。それから幾星霜、アインシュタインやウゴウゴルーガやポケモン絵本を越えて、ついに青木俊直さんのオリジナル作品の単行本が刊行されました。ああ、本当に長生きはするものです。死んだ友人にもいますぐ報告に行きたい気分。

連載第一回目が掲載されたときは、掲載誌の「まんがタイムジャンボ」を探して回ったものです。じつは雑誌はそのときしか読んでいなかったので「漫画家デビュー前の純情少女が、イケメン担当者にそそのかされてエロ漫画を描かされているコメディ」だと思い込んでいました(笑) まさか「おかっぱ眼鏡オンナのマッドサイエンティストが巨大メイドロボで世界征服を企む物語」だったなんて!

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青木俊直『なのはなフラワーズ』第1巻[Amazon]

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2008年11月25日

館神龍彦『くらべて選ぶ手帳の図鑑』

これは便利。43社164冊の手帳の中のページが確認できる。パラパラと眺めるだけで、バーチカルタイプのほとんどの商品が、土日にしわ寄せがきていることもすぐに分かるのだ。

手帳って、微妙なデザインの違いについこだわってしまうもの。外観もさることながら、大事なのは中のページデザインがどうなっているか。いきおい手帳コーナーでひとつ手にとっては開いて眺め、また別の手帳を手にとっては開いて眺め、という繰り返し作業になる。その面倒さを知っている貴兄なら、この本がいかにかゆいところに手が届く一冊か、お察しいただけると思う。

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館神龍彦『くらべて選ぶ手帳の図鑑』[Amazon]
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2008年11月05日

高橋俊介『巨大高層建築の謎』

新書百花繚乱の昨今、フルカラーで科学にまつわる知識を分かりやすく紹介するサイエンス・アイ新書は、なかなかいいスタンスで展開していると思う。
31メートル以上の建物なんて、いまではあたりまえのように林立しているが、それらはすべて「超高層」と呼ばれる建築物だということを知っている人は、思いのほか少ないかもしれない。
巨大建築物、超高層建築物にまつわる知識を分かりやすく解説した本書。浮力について定義したアルキメデスの原理が土にも適用されて、土の上に浮かんでいる超高層ビルがあるなんて知らなかった。エンパイアステートビルのてっぺんには巨大飛行船の乗降用デッキがあったという話は、どこかで聞いたことがあるのだけど、まったく覚えていなかったから初耳だったのかもしれない。巨大なビルに巨大な飛行船が停泊している当時の想像図は、見ているだけで思わず身震いする(実際には危険すぎるということで使われないまま、飛行船の時代が終わってしまったらしい)。
デカい建物は、デカいというだけで威容を放っている。そこにしびれる、あこがれる。

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高橋俊介『巨大高層建築の謎』[Amazon]
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2008年10月30日

リーアンダー・ケイニー『スティーブ・ジョブズの流儀』

ちょうど半分くらいまで読み進めたところですが、いわゆる白ジョブズを基調に、アップルのサニーサイドを概観した本、という印象。
ジョブズがお山の大将だからといって、アップルでの意志決定がすべてトップダウンというわけではない。ジョブズの創造的思考(クリエイティブシンキング)の中核をなすのは議論や討論である。ジョブズは自分のアイデアに異を唱えるパートナーがほしい。そのパートナーのアイデアに今度はジョブズが異を唱えるわけだが。それもたいてい強烈に。ジョブズは知的な殴り合いを通じて意志決定をくだす。それは過酷で好戦的だが、厳正で創造的である。
こんな具合だ。意地の悪いゴシップ本なら、いくらでもこき下ろせそうなジョブズ・スタイルも「それは過酷で好戦的だが、厳正で創造的である」なのだから、なんと前向きな表現もあったものである。
クリエイティブの現場は、たいていの場合ギスギスするものだ。皆がギリギリのテンションでつばぜりあいを繰り広げるのだから、そういうことも起こりやすい。巻き込まれたと思っているだけの者は常に手痛い目に遭う。生涯消えないほどのトラウマを植え付けられることだってあるだろう。その口から呪詛の言葉がでてきたとしても無理はないかもしれない。しかし、最高のメンバーが知的な衝突と繰り返す中で原石からダイヤモンドを磨き上げていく過程は、他人にとやかく言えるものではないだろう。本書はジョブズのボクシング・スタイルについては、好意的なコメントを丁寧に拾い上げ、外野がおもしろ半分に揶揄するべきものではないクリエイティブの現場を描き出している。ジョナサン・アイブをはじめ、多彩なAチームメンバーの証言をつまみ読みできるのも本書の魅力かもしれない。
正直、ジョブズという一本の柱を中心にアップルを振り返るのは、比較的気持ちがいいのだ。いまさらジャン・ルイ・ガセーやマイケル・スピンドラーの時代の低迷と迷走(俺たちはずっとそれに付き合わされてきた!)を振り返るのも悪趣味というものじゃないか。

先日出た『ジョブズはなぜ天才集団を作れたか』[Amazon]はまれに見る駄訳・珍訳に彩られた糞本だった。原題は『The Apple Way』。アップルがおなじみの失敗と迷走を繰り返しながらも奇跡的に危機を乗り越えてきたことをグダグダと書き連ねた作文だった。日本語タイトルはあきらかに看板に偽りあり。「ジョブズ」というキーワードと「なぜ○○は○○か?」といういかにも売れ筋のタイトルで売りたかった講談社の思惑がこのような本を作ったのだろうが、アップルの商品名もまともに書けない訳者や校閲担当を起用した罪は重いと言わざるを得ないだろう。

閑話休題。ぼくはNewtonを抹殺したジョブズをいまも許すことはできないが、彼の姿勢を尊敬している。ぼくの服装が近頃もっぱらジーンズに黒いタートルネックのシャツなのは、あからさますぎて自分でもどうかと思うけど(笑)

おっと再び閑話休題。本書の白ジョブズによるアップルストーリーは、現在のアップルを通じて世界を振り返るにはいいテキストになるだろう。ジョブズをはじめ、多くの人物の歴史的証言が引用されている。引用元もきちんと巻末にまとめられている。しかしその丁寧な構成が、少々寄せ集めの卒業論文っぽく感じられる人もいるかもしれない。各章の最後に「スティーブに学ぶ教訓」と題して役立つのか役立つのか分からないようなまとめが付いているのは、いかにもいまどきのビジネス本のようでなんだか笑ってしまう(『ジョブズはなぜ天才集団を作れたか』にも各章のまとめが付いているが、こちらは輪をかけて役に立たない。笑えないアメリカンジョークのようなものも含まれている)。これらも含めて、いまのアップルとジョブズをまとめたよい本だと思う。

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リーアンダー・ケイニー『スティーブ・ジョブズの流儀』[Amazon]
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2008年10月09日

福島哲史『クリアホルダー整理術』

会社の書類はすべてクリアフォルダと超整理法(押し出しファイリング)を掛け合わせた方法で管理しているので、本書の主張はかなり共感できるものがあった。

よく「仕事の優先度・緊急度等によって色の違うクリアフォルダを使い分ける」という方法が提唱されるが、これはあまりオススメしない。優先順位などはすぐに変わっていくものなのだから、その都度ちがう色のクリアフォルダに移し替えるといった作業が発生して、結局ロスにつながるからだ。「今日やること」をまとめたトレーに集約するほうがいい。終わったタスクのクリアフォルダは押し出しファイリングに戻していき、なるべくトレーがからっぽな状態を維持するようにする。メール処理のIN BOX ZEROと同じ考え方だ。

巻末のこれでもかとさまざまな用途にクリアフォルダを活用するアイデア記事は、半ば呆れつつ、半ば感心した。自転車サドルの雨よけなどは、なるほど実用的じゃあないか。

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福島哲史『クリアホルダー整理術』[Amazon]


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黒田硫黄『大金星』

うむ、やはり黒田硫黄は面白いな。アフタヌーンで『ミシ』が始まったときは「苦しんでるんじゃないのか?」と疑ったりもしたけれど、本当の病気で苦しんでいた彼は、今はきちんと復活しているわけで、いやもう、本当にうれしいかぎりだ。『ミシ』も、あらためて通して読むとイイね。
『居酒屋武装条例』は初めて読んだ。あーあの映画の監督のあれみたいだなぁと思いながら読んだ。いひひ。

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黒田硫黄『大金星』[Amazon]
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2008年10月08日

本を読むということ

世の中には「1分間で1冊読める」という人もいる。「本はじっくり味わうようにして読みたい」という人もいる。前者もまさかガルシア=マルケス『百年の孤独』を1分で読んでしまえとは言わないと思うが(言わないよね?)、1分間で1冊を読むという行為は、完全に従来の読書観とは違ったパラダイムを持っている。読書術の本の多くは「まず目次を読め」という。極論すれば目次だけ読んでおしまいでもいいという。「最後まで読まなくていい」という。ピンとこなければさっさと次の本に移った方がいいと。おまけに多くの本は著者の言いたいことは最初の1/3ぐらいに集約されているから、少なくとも最後の1/3は付け足しなのだと。このあたりは著者の執筆術にもよるのだけど、売れている本を出している著者の場合はたしかにそういうこともある。

さて、そうやって少しでも効率を上げて、少しでも多くの本を読めと、多くの本が主張している。たぶんそれは間違っていないのだろう。しかし、この1分間で1冊の本を読む方法を解説している本は、ひたすら高速にページをめくり、すべてのページに触れるようにと説いているようだ。同じようなこと(すべてのページに指紋をつけるべし)を書いている本もあった。

いずれにせよ、いかなる方法であれ、大切なのは自分で実践して、自分の技にすることだろう。

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石井貴士『本当に頭がよくなる1分間勉強法』[Amazon]


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日垣隆『ラクをしないと成果は出ない』[Amazon]


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ガルシア=マルケス『百年の孤独』[Amazon]
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2008年09月19日

吾妻ひでお『うつうつひでお日記 その後』

なんとなく「描いてないんじゃないか」と疑っていたのですが(苦笑)、こうして表紙デザインらしきものが掲載されはじめたのをみると、「本当に出るんじゃないか」と思えてきました(苦笑)。

9月30日発売予定。

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吾妻ひでお『うつうつひでお日記 その後』[Amazon]
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2008年08月30日

黒田硫黄『あたらしい朝』第一巻

はてさて、とにもかくにも新作、新刊である。連載中断した作品なので、続きは読めないのではないかと思っていたが、なんとか復帰できたようで、連載再開したとのこと。

なにしろ「あたらしい朝なんてこなければいい」という主人公の泣き言で第一巻は終わっているのだから、ここで終了したらあまりにもシニカル過ぎる。

いろいろあったようだが、ともあれ黒田硫黄の健在ぶりはうれしい。がんばって続けていってほしい。

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黒田硫黄『あたらしい朝』第一巻[Amazon]
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2008年08月27日

あずまきよひこ『よつばと!』第八巻

本日発売。

昨日、週刊アスキーをパラパラと眺めていたら、ちょうど告知ページが掲載されていた。明日発売の文字。なんというタイトな告知なんだろうと感心した。はやく買いに行きたいなぁ。

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あずまきよひこ『よつばと!』第八巻[Amazon]
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2008年08月26日

カネコマサル『ふら・ふろ』第一巻

正直、その絵柄はどうみても『苺ましまろ』まんまじゃないですか。フォロワー作品はなるべく読まない主義なのですが、ふと「少し大きくなったあいつらのゆるゆる生活をみるのもわるくない」などといった不埒な天啓に従って購入。

おんぼろアパートの管理人を務めるナツとハナの二人が、管理人らしいこともせずにひたすら貧乏な「お金もなんにもない、日常だけがある暮らし」を続ける、そういう作品。若い娘さんが何を元気のない……とあきれること甚だしいのだけど、お金のない日々を極めることのワンダーさをゆるゆると愉しんでいる二人は、むしろとってもうらやましい。

管理人とは別に「大家さん」が登場するので、いったいこのアパートはどうなっているのだろう? と不思議でたまらん。アパート住人の娘なのか近所の子供なのか分からない「師匠(幼女)」や、大家さんが拾ってきた「ショートカットでメガネで背が低くて不幸体質(ドジっ娘)の女子高生」吉田アオが登場してくるあたりで、誌面がにわかに賑やかになっていくのがまた楽しい。

ビジュアル的には「似たような絵柄の女の子の微妙なバリエーション展開」でしかないんだけど、そこもまたフォロワーっぽくてなんとも。表紙のカラー画が美しい。フォロワーでもべつにいいや(笑)

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カネコマサル『ふら・ふろ』第一巻[Amazon]
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2008年08月23日

唐沢俊一『血で描く』

初の長編小説、だそうである。唐沢兄といえば、毎年何冊もヘンな本を出し続けているわけで、なんだか意外な印象もあるが、考えてみればなるほどそうかもしれない。

古来、、小説の第一作目にはその作者のエッセンスのすべてが詰まっているという。本書もご多分に漏れず、氏のホームペースともいうべき古本をめぐる物語である。古本業界の中でも、なかなか日の目を見ることない貸本漫画にスポットライトが当てられる。小説で貸本漫画を取り上げ、漫画を描く小説であるが故に技巧に満ちた漫画との融合、メタ的な世界観と人間の狂気、日本がクレイジーさに充ち満ちていた昭和三〇年代、そういった氏ならではとしかいいようのないガジェットや舞台背景を惜しげもなく投入した作品である。
映像的な仕掛けも、いかにも「いまどきのCG技術ならできるんだろう?ほら、映画化でもなんでもやってみてよ、ほらほら」と言いたげであるが、当然、そんな見た目の恐怖表現などは氏の眼中にはない。表面的な怖がらせなどは、本作が秘めているどす黒い波動に比べたらたいした問題ではないのである。しかしそんなどす黒い情念に対してさえ深い愛情を寄せる氏の視点は、どことなく優しい読後感を与える。

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唐沢俊一『血で描く』[Amazon]
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2008年08月08日

押井守『他力本願―仕事で負けない7つの力』

ぼくはどちらかといえば押井監督の熱心なファンではないだろう。押井監督の著書は思いのほかたくさん出ているのだが、じつは読んだのは本書が初めて。

読み始めて感じたのは、「えらくわかりやすいな」ということだった。『スカイ・クロラ』という作品で監督がやろうとしたこと、そのためのアプローチの数々が語られる本書は、『スカイ・クロラ』という映画を理解する最高のサブテキストだろう。

本書は『スカイ・クロラ』を通じた押井流映画術でありながら、押井守という人物の半生を振り返った自伝でもある。押井守という人が、どんな生き方をしてきたのかも、やはりボクはあまり知らなかった。けっこうな収穫だった。

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押井守『他力本願―仕事で負けない7つの力』[Amazon]
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2008年08月07日

DVD付初回限定版 「Kiss×sis」第3巻

ここのところ増えてきたのが、初回限定版としてオリジナルDVDを付属するコミック単行本。

その始祖は『一撃殺虫!!ホイホイさん』[Amazon]に求めることができるかもしれない。OVAをコミックの単行本につけて販売するという大胆な企画に面食らったものだ。

その後、コミックにストラップやフィギュア、中にはTシャツなどをつける初回限定特典ブームが続き、一巡するカタチでDVDがふたたび脚光を浴びていることになる。

アニメの1話をまるまる収録、といったお試し的な企画が定番だったが、完全オリジナルの新作アニメをつける、というこれまた「ホイホイさん方式」に回帰してきたのが興味深い。

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DVD付初回限定版 「Kiss×sis」第3巻[Amazon]
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2008年07月24日

MACROSS CHRONICLE(マクロス・クロニクル)Vol.1

(A機)>『マクロス・クロニクル』創刊号でましたね。
(栄輝)>河森氏が巻頭言を担当していて、『ガンダム・ファクト・ファイル』と比べるとオフィシャル感が強いな。
(A機)>歌の歌詞をまんま収録しているシートがおもしろいですね。
(栄輝)>これ、いろいろとハードル高かったと思うけど、「マクロスといえば歌」と考えれば、すごくまっとうな発想で感心したなぁ。タカトクトイスのバルキリーや劇場版のポスターを掲載していたり、作品の周辺もきっちり取り上げようとしているところもおもしろい。マクロスをアーカイヴするならここまで横断的にやる、という編集姿勢は気に入りました。
(A機)>おお、ということはいきますか?
(栄輝)>いやーどうしようかまだ迷ってるよ。分冊百科は魔物だし、そもそも何号まで続くか判明していないし。
(A機)>ともかく、もう創刊号は買ってしまったわけですから。
(栄輝)>うむ。総合的なマクロスの資料集としては唯一無二のものになりそうなので、そのへんは期待してる。

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バインダーが思いのほか高額なのがちとつらいなぁ。

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マクロス・クロニクルバインダー[Amazon]
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2008年07月23日

J.K.ローリング『ハリー・ポッターと死の秘宝』いよいよ最終巻発売

ハリポタとの出会いはわりと早くて、まだディアモール梅田に三省堂があった頃、会社帰りに立ち寄ったときに「ちょっと凝った装丁、あまりなじみのない眺めのタイトルの本」が並んでいるのを発見、それが『ハリー・ポッターと賢者の石』でした。

なんだか気になって手に取ってみると、本文の書体がところどころ変えてあったり、装丁や挿絵もしゃれている。しかもいままで知らなかった出版社。なんとなくおもしろそう。本好きなら誰もがやったことがあるであろう、「ジャケ買い・装丁買い」をしたのでした。で、読み始めてみるとこれがじつにおもしろい。たしか二日ほどで読み終えてしまったはずです。

「これはきっとヒットするな。話題になるに違いない」そんなふうに漠然と感じていました。

世間で話題になっていくのは、それから何カ月もあとのことです。映画化されていわゆる「ハリポタ旋風」と呼ばれるブームが訪れるのも、もうちょっと後の話。たいして自慢にもならないわけですが、そんなふとしたきっかけて読み始めたハリー・ポッターもいよいよ最終巻。わが家にも今日Amazonから届くので、今夜にも読み始められるかな。

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2008年07月19日

とだ勝之『ホームセンターてんこ』第1巻

女子高生とドリル! 女子高生とドリル! (釣り完了)

あと、

福岡訛り! 福岡訛り! (特定の友人に釣り完了)

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とだ勝之『ホームセンターてんこ』第1巻[Amazon]
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2008年07月18日

渡辺航『弱虫ペダル』第1巻

渡辺航がまたやってくれました。秋葉原までの往復90kmの道のりをママチャリで通っていた少年の脚力は、本人も気がつかないうちにロードレーサーに肉薄するほどのポテンシャルを秘めていた(!) そんなばかなと思いつつも、ページをめくるたびに上昇するテンション、血中アドレナリン濃度がどんどん上昇していくのがわかる。ああ、続きが待ち遠しい、待ち遠しい。2巻が出るまで、とにかく俺も走ってきます!

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渡辺航の描く主人公は、どこか内気で、自意識過剰で、勝手に追い詰められて、ひとりでに「逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ」を始めてしまうのが特徴。本編の主人公・小野田坂道も、そうした碇シンジを引き継ぐ者の一人だといえるだろう。言ってしまえば汎用ヒト型決戦兵器がママチャリに変わっただけだ(笑)
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2008年07月15日

星樹・倉田英之『ハンド×レッド 』第3巻

ほとんど語呂合わせ優先の100年スパンの因縁の戦い。主人公は呪いにより100年毎に10日間しか地上に存在することができない。そのあいだに自分を裏切った元親友の魔法使いを倒して呪いを解かなければならないのだ。毎回いろいろあって「次の100年」に先送りになる、という展開なのだが、「100年も経ったら、前の登場人物みんないなくなってるのでは?」という素朴な疑問に「じつはがんばって長生きしたので100歳超えてます」みたいな人が出てきたり、禁呪により何百年も長生きしている人がでてきたりして、なんとか過去との因縁を保っていたりする。さらに主人公が元親友と決別することになった当時のことを振り返る過去編も挿入されて……と、閉じているんだか開いているんだか、ギリギリの設定オチな作品ではある。だがそこがいい。

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2008年07月03日

愛蔵版 機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV ジャブロー編

『ガンダム・ジ・オリジン』はカラーページが豊富なのに、カラーページをカラーで収録しない普及版の単行本にはどうしても不満なので、わが家の本棚には愛蔵版が並ぶ。ガンダムエースも毎月購読しているから、愛蔵版の刊行ペースにはさほど不満はない。むしろこうしてまとまったボリュームで読むと、安彦節としか言いようのないグルーヴ感にクラクラする。そういう楽しみ方は、愛蔵版ならではのものだろう。連載時と同じ大判サイズならなおよいのだけど、そのサイズはすべて値段に跳ね返ってくるので安易に要望するのもおそろしい。

柴田ヨクサルの巻末描き下ろし漫画に賛否両論あるみたいだけど、本人も最近はいろんな作品に顔出しするようになってるので、安彦氏が活発に相互交流している、という証左になる企画としてぬるく受け止めていいのではないだろうか。『ハチワンダイバー』は間違いなく今もっともノッてる漫画作品のひとつだし。

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2008年06月30日

倉田英之『倉本 倉田の蔵出し』

倉田英之氏の古今東西コラムをかき集めた本、らしい。てめー、そんなことより『R.O.D』の最終巻どうなってんだよ!というもはやファンの共通言語とも呼ぶべき疑問符はさておき、考えてみたら倉田氏のコラムというものをほとんど読んだことがなかったので、この機会にまとめて読めるのはありがたいとはいえその表紙写真はなんだ?(笑)

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2008年06月25日

とよ田みのる『FLIP-FLAP(フリップ・フラップ)』

……これはやられた。ピンボールである。ピンボールをテーマにした恋愛コメディ。そんなもの見たことも聞いたこともない。学生時代はけっこうやったな、ピンボール。ピンボールは当時だとレイダースといった人気映画タイトルを冠したものが増えてきた頃だったろうか。ボールをスリングしたときのドギュンとした感触や、ボールがステージを転がっていくときのゴロゴロといった重量感、そういったものまで本体に添えた両腕から伝わってくるのがピンボールなのである。
あこがれの「山田さん」に高校卒業ギリギリになって告白した主人公、「条件があります」と連れて行かれたのがゲームセンター。そして彼はピンボールと出会う。3億点というハイスコア、それを超えたら付き合ってもいいと言う彼女。惚れた女を口説くためといういささか不純な動機からはじめたピンボールであったが、その奥深い世界に次第にのめりこんでいく……。これはおもしろい。本人たちも最後に語るではないか。「この一年、たのしかったよ」と。
久しぶりにピンボールがしたくなってきた。ボールをロストして「あぎーっ」と叫び声をあげ、「もう二度とやらねーからなっ」と憎まれ口を叩き、そして、そしてふたたびコインを投入するのだ。

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2008年06月24日

幸村誠『ヴィンランド・サガ』第6巻

トルフィンとトルケルの決闘、続き。戦いの合間に、二人の意外な因縁が明らかになる。トルケルは全部知っていて、トルフィンの相手をしていたわけだ。このおっさん五〇歳なのか……。

決闘が続く一方で、クヌート王子が覚醒する。文字どおり目覚めちゃう。王子の決意は、単なる復讐心ではないだろう。覚醒した王子は、驚くべき求心力で物語を束ねていく。

そうきたか!

人が殺し合う漫画は好きじゃない。だから、この物語も眉をひそめながら読む。殺し合う中でギリギリの生をつかもうとする彼らを、ヒリヒリとした気分で見守る。しかし、その死屍累々の山を前にした王子の覚醒は凛としていて、胸を打つ。まだしばらく、彼らの生き死にを見守り続けなければならない。

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2008年06月20日

森永卓郎・柴田玲『痩せりゃいい、ってもんじゃない!』

森永氏とのひたすら往生際の悪い対談(苦笑)を交えつつ、「脂肪細胞は悪ではないよ、適度な状態に保つことが肝要なんだよ」ということを科学的に解説した本。対談の途中で柴田先生が「(森永氏は)特殊すぎて一般的な考え方が通用しないかもしれない」とあっさりサジを投げているところが笑えるところであり、本書の大きなトラップでもある。森永卓郎はメタボ代表としては特例過ぎて、「太っていて、仕事においまくられているおっさん」という部分以外は、あなたとは共通点がまったくない(断言)。

岡田斗司夫『いつまでもデブと思うなよ』が、いわゆるメタボ検診に先駆けた絶妙なタイミングで刊行されてベストセラー街道を驀進し、「ポストいつデブ」としていくつかの本が姿をあらわしている中で、意図的に「アンチいつデブ」っぽいタイトルネーミングでぶつけてきた本作。岡田斗司夫氏が『いつデブ』から間髪をいれずして『オタクはすでに死んでいる』を出すことによってまた違うステージに飛んでいってしまったことを受けて、「なんとなく残されちゃったオタク」としての森永卓郎の心情吐露が本書をただのメタボ関連本にしていないところであるが、本書の質を下げている部分である、と言えなくもないわけで。

「岡田斗司夫は痩せてオタク心を失ったのではないか」と森永氏は言う。オサレな服来て、事務所もすっきり片付いていて、ちっともオタクに見えないと。「自分もダイエットしたらオタク心を失ってしまうのではないか」と危惧しているのである。オタクはモノに埋もれて、服装なんて気にしないものだというパラダイムが彼を縛っているわけだ。

挙げ句の果てに柴田先生に「あなた、ダイエットする気ないでしょ」とまで言われてしまう始末。実際、氏は変わることをおそれているのだろう。ダイエットするというのは、「○○kg体重減」「ウェスト○○cm細く」といった物理的な変化がひとつの指標として捉えられてるが、実際はライフスタイルの変化であり、衣食住に対する価値観の変化である。体型の変化はその副産物としてあらわれる。ダイエットするということがそういうことであると、森永氏は見抜いているのだ。そういう意味で、柴田先生のアドバイス「毎日、菓子パン1個がまんするだけで毎月ウエストが1cm縮まりますよ」というのは事実であるが、本質ではない。それだけでは痩せない。

それにしても、森永氏の自己肯定っぷりだけは感服する。自分の過去、現在、未来についてこれっぽっちもコンプレックスがうかがえない。さっぱりしている。ここまではっきりしていると、かえって煙たく感じる人も多いだろうに、この自己肯定力は無敵だ。

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森永卓郎・柴田玲『痩せりゃいい、ってもんじゃない!』[Amazon]
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2008年06月18日

小川浩・林信行『アップルとグーグル 日本に迫るネット革命の覇者』

「アップルとグーグルは似ているところとまったく異なるところがあるよね、それを比較しながら読み解いていくとおもしろいよね」という観点で書かれた本書。目の付けどころはけっこう面白いと思う。特に「グーグルは水道をつくろうとしている、アップルは蛇口に専念しようとしている」という見立てなどは、両者の立ち位置をうまくあてはめていると思う。アップルがインターネット以前の企業で、ソフトだけでなくハードという肉体を持っているのに対して、グーグルはインターネット以降の企業で、仕組みのみで肉体を持たないという指摘も興味深い。グーグルとアップルが「共創していく」といった公式なコメントはなかったと思うが、その両者がそれぞれのテリトリーでうまく共生関係を築いている様子は、両者には何らかの暗黙知が構築されているということだと思う。
そんな両者の関係を紹介しながら、(おそらく林氏が手がけたのであろう)第三章では日本の携帯電話事情を取り上げ、警鐘を鳴らす。日本企業にブレイクスルーを促すのは最近の林氏のテーマとなっているようだ。

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小川浩・林信行『アップルとグーグル』[Amazon]

ともあれ、iPhoneが来月いよいよ日本でも販売開始されるわけで。そのことが単純に待ち遠しくて待ち遠しくて。
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2008年06月15日

西田圭介『Googleを支える技術 〜巨大システムの内側の世界』

まえがきに「本書は、情報系の大学3年生程度の予備知識で読み進められることを目指しており、あまりに専門的な内容については踏み込んでいません。」とあるが、そのレベルにはるかに届かない自分には少々ハードルが高い一冊だった。

それでも興味深い記述はいくつかあって、その中でも、一般的なPCの知識としてすぐにでも認識をあらたようとしたのはハードディスクの寿命についてだった。

曰く、
・長く使うと壊れやすくなるわけではない
・よく使うと壊れやすくなるとも限らない
・温度が高いほど壊れやすいということもない

どうやら使い始めて初期段階に故障しなかったハードディスクは、その後もたくましく生き延びる……そういうことらしい。

こういったハードディスクの故障に関する論文も公開されているという。なにしろ、Googleが使用してきた10万台におよびハードディスクの使用データを元に導き出された統計結果なのだから、かなりの説得力があるといえるだろう。

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西田圭介『Googleを支える技術』[Amazon]
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2008年06月14日

本田透『電波男』文庫化

『オタクに未来はあるのか!?』でもたびたび引き合いに出されていた『電波男』がようやく文庫化された。
本書の文庫化のオファーはいくつかあったのですが、今から手を入れて縮めるとなると全部書き直したくなるのでいっそノーカットで収録したいという条件がなかなか版元と折り合わず、最終的には講談社さんから出せることとなりました。
とのこと。だからあいかわらずブ厚い(笑)
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本田透『電波男』[Amazon]
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2008年06月11日

森永卓郎・岡田斗司夫『オタクに未来はあるのか!?―「巨大循環経済」の住人たちへ』

岡田斗司夫氏の『オタクはすでに死んでいる』を補完するテキストとして買っていたんだけど、いろいろあって読むのが今になってしまった。二人の「オタク事始め」のようなバックボーンや国際的な視点からみたオタク論、循環型経済としてのオタク社会などは、わりとおなじみの話題かもしれないが、それはともかく、注目するべきは今のオタクが明解に定義されていることである。
岡田斗司夫氏は、「2008年現在の」と限定しながらも、「旧作のリアルよりも、現実のファンタジー化を求める」、これが今のオタクであると定義している。

その的確すぎる指摘にはなるほど、とうなずくばかりだが、感心していれば済むのかというと、どうもそうではない気がする。

「現実のファンタジー化を求める」と書くと聞こえはいいが、その行為が社会を変革させていく推進力ならばかまわない。しかし、実際に発露している物事は、むしろ正反対に向かっているような気がしてならないのだ。

現実を受け止める基礎体力を持たないで、何がファンタジー化か。

2008年のオタクが、許されざる思想なきテロリズムを跋扈させる根源とならないことを祈りたい(しかしそれを象徴するかのような出来事はすでに起こってしまった……)。

小さな対談集なので、読み始めればほんのわずかな時間で読み終わるだろう。

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『オタクに未来はあるのか!?』[Amazon]
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2008年06月09日

唐沢なをき『まんが極道』第二巻

「漫画家」をネタにしたシリーズの第二巻。前作『漫画家超残酷物語』が持っていたネタ元作品(永島慎二『漫画家残酷物語』)に対するリスペクトがなくなった分だけ、作品としての立ち位置がゆるくなっている本作は、むしろ生々しくもありがちな漫画業界のゴシップをドロドロと描くことにフォーカスがあたっているようだ。
そのためか、二回に一回はオチナシエンド。漫画家の生態は、生きている限り何らかのグダグダを抱えたまま続いてくという、そのまんまをぶつけているからなのだろう。
ネタのいくつかは自己言及としか思えないようなものも多い。デビュー以来、ひらすら多作にかけぬけ続けてきた唐沢なをきだから描ける血のにじむ叫びである。血を吐きながらのレースは生きている限り続いていく。こちらも生きている限り彼の作品を追いかけ続けていく所存である。

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唐沢なをき『まんが極道』第二巻[Amazon]

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唐沢なをき『まんが極道』第一巻[Amazon]

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唐沢なをき『漫画家超残酷物語』[Amazon]
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2008年06月07日

脚本:倉田英之/漫画:okama『CLOTH ROAD』第六巻

いつみてもジェニファーの野生児っぷりはすばらしい。痛快無比。それに比べてファーガスは葛藤担当という損な役回りのおかげで、いいところがまるでない。今回ほとんど背景。主人公二人をそっちのけにして大きな物語が動いている。まだまだ彼らはそこにたどり着けていないということだろうが、世界が広がりをみせるほどに、彼らとの接点が「設定のみ」になっていくのは考え物である。ここからどう引き締めていくのかが倉田氏の腕の見せ所ということになるが……はてさて。

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『クロスロオド』第6巻[Amazon]

あと輪切り自重。肉体のスライスは1巻からあって、その手の肉体損壊描写を好まない自分としては、そこだけは容認しづらいのだ。

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2008年06月06日

デビッド・アレン『仕事を成し遂げる技術』

元祖GTD(Getting Things Done)の本書、やはり一度は原点にあたっておくべきだろうと。
「翻訳がひどい」という評価をよく目にします。実際にそのとおりだと思いますが、同時に、英語文化圏で書かれた本を日本人の嗜好に合わせて翻訳していくことの困難さも強く感じました。おそらく、よりわかりやすく、なおかつ実践的な本として仕上げるなら、相当な換骨奪胎による再構築が必要になるのであろう。ここ数年の、GTD、LifeHack関連書籍の多くは、その試みの中から生まれてきたものだといえるだろう。
ともあれ、GTDを自分の中に取り入れていくにあたって、いくつかのヒントをつかむことはできたし、自分なりに工夫を繰り返していくことはLifeHackのキモなのだから、あとは自分が実践していくだけである。だからまずは自分にこう問いかけてみる。

で、次の行動は?

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デビッド・アレン『仕事を成し遂げる技術』[Amazon]
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2008年06月05日

水上悟志『惑星のさみだれ』第5巻

アニマ復活。さぁ、よくわからなくなってきた。魔王さみだれ様とアニマの関係は理解しているつもりでいたけど、ここまでパキッと別の存在として行動されると、「え、そういう設定だったっけ?」と。騎士たちが誰に忠誠を尽くすかというと、それはもうまちがいなくアニマであって、さみだれではないわけで、いまのところ「アニムスを倒す(そのためにやってくる泥人形を倒す)」という共通の目的に沿って動いているから表面化していないけれども、アニマがさみだれを切り離すように動いたら最後、この関係は壊れてしまうだろう。そのときさみだれのそばにいるのは、主人公ただ一人なのか、三日月は味方に付くだろうか、共闘できるだろうか。
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水上悟志『惑星のさみだれ』第5巻[Amazon]
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2008年06月04日

GarageBand使いこなす、全部!!

マックを使って「いつかやってみたいと思いつつやっていないこと」がふたつある。
ひとつはタブレットでイラストを描くこと、そしてもうひとつがDTMだ。
最近のiLifeアプリケーションにはGarageBandというよくできたDTM環境が提供されている。にもかかわらず、ぼくにはこのアプリの使い方がまったく理解できていないのだ。たとえばお絵かきソフトなどは、どれも古くはスタジオ8やマックペイントの延長線上にインターフェースが構築されている。だから基本的な使い方でとまどうことはない。ワープロソフトはどこのメーカーのものだって、キーボードを叩けばキャレットの位置にテキストが入力されていく。そういった原理原則としての作法が自分の中にちゃんと身についているわけだ。だからあとはソフトごとの差異をすりあわせていくだけで、それなりに使うことができる。ところがDTMに関してはまったくそういった原理原則が身についていないために、何をどのようにふるまえばいいのか、まったく見当がつかない状態。こういう本を手に入れれば、それが解消されるのかと安易に考えるのも考え物かもしれないけれど、そこから始めないと初音ミクに手が届くわけもない。

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2008年06月03日

『ガンダム画報2』

前作『ガンダム画報』[Amazon]はじつに重宝する本だった。
「とにかくあらゆるガンダム作品が網羅されている」「センチネルやF90などのプラモ企画などもフォローしてくれている」「放送時期、スタッフリスト、サブタイトルリストなどの作品スペックも収録」等、ちょっとしたことを確認したいときに、とにかくこの一冊をひもとけばほとんどのことが解決するのであった。
『ガンダム画報2』は、前作刊行後の十年間の作品を同様のスタイルでまとめた一冊。したがって、「ほとんど網羅されている」ということが本書の最大のメリットとなる。現時点での最新作である『機動戦士ガンダム00』まで収録されているのがありがたい。
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『ガンダム画報2』[Amazon]

それにしても膨大な点数である。前作が最初のガンダムからの二〇年間を扱ったのに対して、本書は半分の十年にすぎない。しかし掲載するべき情報件数は倍増では済まなくなっている。そのしわ寄せは確実にあって、ものによっては図版は極小サイズとなっている。作品情報に関しては、サブタイトルリストが省略されてしまった。
また、『アドバンスド・オブ・Ζ ティターンズの旗の下に(いわゆるA.O.Z)』は、登場MSの無限変化とも言えるバリエーションが特徴であったが、それらの紹介はばっさりと省略されてしまった。机上プランだけのMSはともかく、本編で活躍した機体についてはせめてフォローしてもらいたかったところ。
その他にも、ゲームオリジナルのMSの投入はGジェネレーション系列のゲームタイトルでは定番となっているが、これらも各作品から2〜3体ずつの紹介に絞り込まれている。
ともあれ、この十年の爆発的な広がりをみせたガンダムシーンの全容はほぼ網羅されているわけで、その全体像をコンパクトにまとめたという点で、その編集作業の困難さも含めて、ありがたい一冊なのである。少なくともわが家においては、前作に続いて、なんだかんだとひんぱんに手に取る本、となることは確定事項なのだ。

ラベル:ガンダム
posted by 多村えーてる at 13:23| 奈良 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | BOOKS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

島本和彦『新吼えろペン』第10巻

「描く抑止力」なんて地口ひとつでここまで描くのか、とあきれかえる第十巻。おもしろいかおもしろくないか、といった判断基準を吹き飛ばすオンリーワンな作風はあいかわらずだが、そこに迷いや倦怠がじわじわと染み出しているのが垣間みえるのもまたあいかわらず。
メタマンガ的な構造をかかえつつも、理系的でもなく文系的でもなく、どちらかというと体育会系なんだろうけど、そこまで肉体派でもなく、ひたすらに脳内体力(言い換えるなら大言壮語)だけで描き続ける島本和彦。

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島本和彦『新吼えろペン』第10巻[Amazon]

そういえば文庫版『燃えるV』の2巻が発売されるのを心待ちにしているのだけど、いったいいつになったら出るのやら。
posted by 多村えーてる at 08:53| 奈良 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | BOOKS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月02日

梶尾真治『アイスマン。ゆれる』

『女性自身』に連載された作品だという。掲載媒体にふさわしく(?)、独身女性が主人公。SF的な味付けはギリギリまで薄めてあるのも対象読者への配慮なのだろう。それでいて、そのしかけがラストのオチで決まるところなどは、じつにカジシンらしいと思った。

独身女性たちがことあるごとに集まっては、うまい料理を食べ、うまい酒を飲んでいる。いまどきの妙齢の女性の生活シーンって、こんな感じなんだろうなと思わせるシチュエーションだ。女同士の友情関係が、ひとりの男性の存在で微妙にすれ違ったりぎくしゃくしたりしていく様も、生々しい。主人公の受け身な性分が、いかにもカジシン好みなキャラクター。女性読者たちのシンパシー具合は、いかに。

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梶尾真治『アイスマン。ゆれる』[Amazon]
ラベル:SF カジシン
posted by 多村えーてる at 16:53| 奈良 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | BOOKS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする