2008年06月02日

梶尾真治『アイスマン。ゆれる』

『女性自身』に連載された作品だという。掲載媒体にふさわしく(?)、独身女性が主人公。SF的な味付けはギリギリまで薄めてあるのも対象読者への配慮なのだろう。それでいて、そのしかけがラストのオチで決まるところなどは、じつにカジシンらしいと思った。

独身女性たちがことあるごとに集まっては、うまい料理を食べ、うまい酒を飲んでいる。いまどきの妙齢の女性の生活シーンって、こんな感じなんだろうなと思わせるシチュエーションだ。女同士の友情関係が、ひとりの男性の存在で微妙にすれ違ったりぎくしゃくしたりしていく様も、生々しい。主人公の受け身な性分が、いかにもカジシン好みなキャラクター。女性読者たちのシンパシー具合は、いかに。

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ラベル:SF カジシン
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2008年04月30日

長月みそか『HR〜ほーむ・るーむ』第2巻

1巻を読んだときに、『あずまんが大王』が開拓した4コマ形式による面白カワイイ学園ライフの後継者、「ポストあずまんが大王」的な作品として上質な一本といったことを書いた『HR〜ほーむ・るーむ』。その第2巻が出たので早速読んだ。どうやら2巻で完結のようである。

「中学生の頃の複雑な心境って、なるほどこんな感じかな」と書いてしまうと、本当にミもフタもないんだけど、登場人物の心境がちらりちらりと見え隠れするように展開していく姿は、じれったくもあり、むずがゆくもあり、たしかに十代の恋とはこんな感じであっという間に流れていくものだったかもしれない……なんて感じ方をするのは、自分が中年親父になってしまった証明でしかなくて少々つらい。

あわただしい日々のままに、中学生活は終わり、高校生活も一年間過ぎて、物語は終わりを迎える。2巻でキレイにまとまったな、と思う。

カラー口絵の登場人物一覧を見て、キャラクターの名前が日本の文学作家をもじったものだとようやく気がついた。「北原と中原って、なんでそんな区別しづらい名前つけるかね?」と思っていたけど、そういうことだったのかぁ。

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2008年04月28日

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版 : 序 全記録全集』

DVDと同時リリースで準備が進められていたが、少々遅れているようだ。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版 : 序 全記録全集
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2008年04月21日

岡田斗司夫『オタクはすでに死んでいる』

とどのつまりは、浸透と拡散、人が群れていく中での盛衰はオタク大陸にも適用された、というただそれだけのことなんだろうね。オタキング岡田斗司夫氏はオタク大陸は例外的にずっと続いていくと信じていた、と書いているけど、それは当事者だったからそう思いこみたかっただけで、やがて崩壊するものであろうことは予感していたはず。現に『ぼくたちの洗脳社会』でも最終章でそういった感じで世界はゆるやかに衰退していくと予見していたわけだし。とはいえ、それからわずか十年あまり。思いのほか早く消滅した。あっというまだった。それでも十年もったのは、この世の春としてはむしろ長いほうだったのだろうか。

オタクの世代論としては、「第一世代=特撮世代、第二世代=アニメ世代、第三世代=エヴァ直撃世代、第四世代=それ以降」だと思っていたけど、ガンダムまでが第一世代で、エヴァが第二世代に再分類されていた。過去は圧縮されていくものだから、それはそれでアリか。

今38歳から43歳くらいまでがヤマト〜ガンダムのアニメ世代と思うんだけど(うさんくさいアニメやうさんくさい世の中とつきあってきたギリギリ最後の世代。もう少し下のガンダム世代とはちょっと違う)、この世代に属するぼくは、少し前の世代の先輩たち(岡田斗司夫氏やロトさんの世代)が地ならしをしてくれるから、世の中がどこに転んでいったとしても、上の世代の最後尾についていけば愉快に老後も暮らせると思い込んでました。ところが近頃、上の方たちの雲行きがどうも怪しくなってきた気がする。個々の活躍はあいかわらずおさかんなんだけど、全体の動きとしては、どうも変な方向に向かっている。なりをひそめてしまっている感じ。愉快な国づくりはしてくれそうにない予感。先輩たちは、その沈みゆく船からさっさとどこかへ行ってしまったのかもしれない。

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新潮文庫で再度文庫化された『オタク学入門』の巻末で、オタキングと富野御大将の対談収録。ガンダムは現代の神話になった云々はとってもよくわかる。それはともかく富野さんは新作やってるのかしらん。『リーンの翼』のノベライズを手がけているという話もあったけど、難航してるのかなぁ。

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2008年04月03日

大谷和利『Macintosh名機図鑑』

歴代マックの長所を愛情あふれる切り口でとりあげたなんとも大谷さんらしい企画の本。アイテム写真はプレーンな撮影になっているので、ビジュアル的なインパクトは控え目だけど、それぞれのマックの位置付けや背景を振り返るのはなんとも楽しい。

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一方、こちらはスティーブ・ジョブズという人物について暖かい目線で綴られている。単なるよいしょでなく、長年見守り続けてきた対象だから、こうした本が上梓できるのだろう。この優しい視点は、大谷さんだから書けるんだなぁと思う。

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2008年03月13日

『めがねのひと』『眼鏡なカノジョ』

立て続けに読んだ。ここにきてメガネなオンナノコ流行ってんの?

『めがねのひと』はいくつかのメガネな女性が悩んだりアレしたりする物語。性的な意味で。

『眼鏡なカノジョ』のほうは毎回いろんなメガネなオンナノコが初々しく青春する話。眼鏡っ娘バリエーションを追求しているのに、「おさげ」を組み合わせるという直球勝負がひとつもなかったことを残念に思うのは俺だけでいい(笑)

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2008年01月31日

広辞苑 第六版

ネットで検索できる、電子辞書も持っている、でも、あるとなにかと便利なのがこの手の辞書。会社の広辞苑は第三版だったので思い切って購入した。事務所に置いていると、みんななんだかんだと手に取っては調べるようになった。おじさん連中は紙の辞典はいいよね、とうれしそうである。

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2007年12月22日

チクマ秀版社が解散

つまり、会社が清算される……ここから出ていた書籍はもう手に入らなくなる、ということである。チクマ秀版社は、坂口尚氏の短編集をシリーズ刊行するなど、意欲的なタイトルを出していた出版社である。意欲的なために、けっこう値段もお高く、手を出しづらかったものも多いのだけど。Amazonではまだ在庫のあるものも多い。Amazon上で在庫ありとなっているものは、少なくとも流通に乗っかっているものなので、注文すれば入手できると思われる。

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安彦良和『クルドの星(上)』[Amazon]

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坂口尚『3月の風は3ノット』[Amazon]

この単行本などは今年の7月にようやく出たばかり。半年も経たないうちに姿を消すことになろうとは…。

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坂口尚『すろををぷッ―坂口尚作品集』[Amazon]

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坂口尚『月光シャワー―SF作品集』[Amazon]

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永島慎二『永島慎二の世界―1962年から1972年アンソロジー』[Amazon]

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吾妻ひでお『ときめきアリス 定本』[Amazon]

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吾妻ひでお『夜の帳の中で』[Amazon]

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原作:滝沢一穂、作画:近藤ゆたか『剛神 大江戸超神秘帖』[Amazon]

Amazonにないものでも、出版社に直接連絡すれば、在庫があるかぎりゆずってもらえるはず。
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2007年11月28日

皆川ゆか『ガンダム事典』

『ガンダム・オフィシャルズ』を刊行した当初、皆川ゆかは「ゼータ以降の時代について、オフィシャルズ同様の本を書くつもりはない」とコメントしていた。それだけの労作であったから、無理もない話だと思っていた。あれから数年、『ガンダム事典』なる本が姿をあらわした。コミックスの単行本と同じ装丁のこの本、特筆すべきはVガンダムの時代まで連綿と取り上げられているということである。もちろん、コンパクトにまとめるために、必要最低限なエッセンスだけが取捨選択されているから、詳細なディテールまで記されているわけではない。しかしながら、そのアプローチは『ガンダム・オフィシャルズ』同様であり、相当な労作であると言える。

『ガンダム・オフィシャルズ』は、一年戦争から0083年頃までの出来事に限って編纂されたとはいえ、アムロとシャアの物語としては『Ζガンダム』『逆襲のシャア』にまで踏み込んだ部分もあった。しかし、二人が歴史の表舞台から姿を消したその後の宇宙世紀に関しての記述はほぼ皆無であったわけで、『F91』、その前後を構成する『F90』や『シルエットフォーミュラ』、そして『閃光のハサウェイ』を経て『Vガンダム』までの宇宙世紀が同じだけの密度で語られていく様子は、この小さな書物に驚くほどの密度感を与えている。その禁欲的とも言える独特の語り口で綴られる「その先」の宇宙世紀の様子に、なんともいえない満足感を覚えた。

低年齢向けを意識しているために、漢字・アルファベットには丁寧にルビがふられているが、その内容は本格的であり、本書を読みこなすには、それなりの年齢の者ではないと難しいのではないかとすら思える。ストイックなページデザインは教科書を彷彿とさせる。淡々と綴られていく宇宙世紀の歴史とあいまって、本当に歴史の教科書を読んでいるような気分にもなる。しかしそこに記されているのは宇宙史であり、モビルスーツを中心とした科学技術史でもある。単なる歴史の本でもなければ、技術解説書でもない。

そのストイックさ、ヘビーさ、それらもすべて合わせて、現在の「宇宙世紀」を俯瞰するテキストとしてはこれほど端的にまとめられたものはないだろう。

「現在進行形の宇宙世紀」である『ガンダムユニコーン』などは、残念ながら本書では取り上げられていない。ガンダムユニコーンは、なにしろ宇宙世紀開闢の瞬間から物語が始まっている。ガンダムユニコーンが完結する頃、宇宙世紀はこれまで以上に豊かな物語を獲得していることだろう。そのあとに姿を現すかもしれない新たなる『ガンダム・オフィシャルズ』に思いを馳せる。

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2007年10月03日

大石まさる『翠水惑星年代記』

これだけ好きなこと好きなように描いていて、ちっとも失速しない大石まさる氏のバイタリティにひたすら感心するばかり。
きっとこの人の頭の中は、年がら年中夏休みで、陽射しが強ければ強いほどニッコニコになる人なんだろうな。

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2007年07月11日

岡田斗司夫『「世界征服」は可能か?』

世界征服が実行するに値しなくなったのか、世界が征服するに値しなくなったのか、厭世的な気分の中でこの本を読み、考える。

世界を征服したあと、征服者は世界の面倒を見なければならないというのは、巧妙なレトリックではないかと思うけれど、なにしろ「世界を征服したい」のであって「世界を破壊したい」のとは違うのだから、「世界を征服してから、どうしたいのか」は大事な話だ。

本書は、さも「世界征服が可能かどうかを検証してみよう!」というお楽しみ的なタイトルをしている。前半部は実際に「あなたはどの征服者タイプ?」といった愉快な展開をみせるが、ラストに提示されるテーゼはあまりにもシニカル。なんでこんな風にマイルドに世の中を批判できるんだろう。その手腕に嫉妬した。

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2007年07月05日

荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険/第五部:黄金の風』

ここのところ、少しジョジョを読み返している。わが家には第四部までしかなかったので、これを機に第五部を購入することに。
第五部の連載当初は、何か乗り切れないところを感じていた。ジョルノ・ジョバァーナという主人公のキャラクターがいまいちパッとしなかったことや、いままでになく迷走感のある展開、第四部でも感じていた「それまでの伏線が結果的に収束することのないストーリー」に、作品として失速してしまったような印象があったのだ。
文庫判三〇巻の巻末には、荒木氏が短い文章を寄せているが、それによると、第五部がスタートした頃から、編集サイドの表現チェックがかなり厳しくなっていったことが明かされている。氏はそのことを非難するつもりはない、と繰り返し書いているのだが、そういった編集部とのギクシャクした関係が、結果的に作品のパワーを削いでいったところはあったのかもしれない。
そんな第五部ではあるが、自分の信じた正義を貫くためにギャング・スターになろうとするジョルノ・ジョバァーナを巡る物語をあらためて追いかけてみることも、そうわるいことではないなと思うのである。

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2007年06月28日

神林長平『敵は海賊・正義の眼』

『敵は海賊』の新刊が出た。いよいよ出た。まさかと思っていたが出た。フムン。心して読むべし。

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2007年04月19日

古賀亮一『新ゲノム』2巻

(A機)>本日発売。
(栄輝)>全力で買ってくる!

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2007年04月12日

『トップをねらえ2!完全読本』

公式イラストやスタッフインタビューが多数収録されているので、トップ2をもう少し楽しみたいなぁと思っている御仁にはよい副読本になるだろう。
電撃ホビーマガジンでの連載記事も収録されている。きちんと再構成されている様子。元からすさまじいテキスト量だったけど、そのページだけは同様の密度感で収録されているので読むのは大変そう。

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2007年04月11日

スティーブン・レヴィ『iPodは何を変えたのか?』

もしもiPodが生まれなかったら、21世紀はさぞつまらなかっただろうね。

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2007年04月10日

渡辺航『ゴーゴー・こちら私立華咲探偵事務所。』

3・4巻同時発売で完結。この人は本当に上手くなったなぁ。
観よ、3・4巻の表紙デザインのポップさ加減を。
巨大ロボット、ヒロインの体型変化、果てはスペオペ番外編など、作品世界の限界をどんどん広げていく大胆なまでのハメの外し方。こういうのは、作家としてのノリのよさと、そうできるだけの自信と技術があってはじめてなさしめるものでしょう。

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2007年03月15日

『カラスヤサトシ』

ここ1〜2週間ほどずっと体調がわるくて、週末を寝込んだまま過ごしたりしている。そんなときに、買ったままになっていた『カラスヤサトシ』を少しずつ読んだりすると、またなんともいえない寂しい気分になる。

「何ヤッテンノ俺?」な感じをどこまでも味わえる一冊。

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2007年02月14日

よつばとひめくり 2007 (カレンダー)

yotuba.comに告知ページできてます。
Amazonかアニメイトで購入すると特製ポストカードがつくらしいですよ。
「たいへんだけど来年もたぶんやるでしょう」って書いてあるところをみると、本編の連載もまだしばらく続くんだろうなぁと思うとちょっとニッコリ。さて冬将軍までたどりつくのはいつでしょう?
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2007年01月17日

長月みそか『HR〜ほーむ・るーむ』第1巻

4コマ形式による面白カワイイ学園ライフっていうのは、『あずまんが大王』が開拓した分野だといえるだろう。その後「二番煎じ」とよぶと怒られるのかもしれないけれど、このフォーマットに則った作品が世にあふれることになった。

その手の作品はなんとなく避けていたのだけど、面白い作品はきちんと面白く、味わい深いものである。『HR〜ほーむ・るーむ』は、いまどきのキャラクター配置に添っているようでいて、微妙にずらしてあるところに最初はとまどった(活発そうな子が美術部だったり、おとなしそうなチビっ子がバスケ部長だったり、天然っぽい子が頭がよかったり)。それも「小手先のバリエーションである」といえばそれまでのことでしかなくて、でも読み進めるうちにそれぞれのキャラクターの立ち位置を楽しむようになっていたのだから、作者の思うつぼではあるのだろう。

「ポストあずまんが大王」的な作品、ということでストレートに楽しめる上質な「ほのぼの4コマ学園ライフ(淡い恋愛もあるでよ)」としてオススメの一本。

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それにしても、彼女たちが中学生で、この人たちが高校生っていうのは、世の中どうかしてると思う(笑)

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2007年01月09日

たもり ただぢ『烏丸学園ガンスモーキーズ』

テックジャイアンなんて普段ノーチェックな雑誌で連載していた作品だから、ほとんどジャケ買い。絵柄、キャラクターが好みのテイストだったので楽しく読んだ。
サバイバルゲームにはあまり知識がないんだけど、サバゲー部の銃撃っていうことはやっぱBB弾を打っているのかしらん。エアガンも強力に改造すると相当な破壊力を持っているとはいえ、副会長(巨乳さん。負けてエロいメイドコスに。でも気に入ってるのか最後までその格好だったw)などは弓矢を射ってたけど、あれって危なくないんだろうか? ……なんて考えると物語の舞台そのものが成立しなくなってしまうので、そこのところはあまり意識しないで、熱いバトルを楽しむのが正解だな。うん。

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2006年10月30日

A.O.Z/アドバンス・オブ・Ζ〜ティターンズの旗のもとに〜

ちかごろはヘイズルも市民権を得たようで、HGUCキット以外にも、ガンコレにもラインアップされていたり、近々MIAも発売されるらしい。
掲載紙があるからと買ってなかったムック本、いまごろになってまとまった状態で読みたくなってきた。でもこれ、裁判パートはまるごと抜け落ちてたりするんだよな。来年には小説本としてまとめられるっていう噂もあるけど、どうなることやら。
ヘイズルの開発系統図の正しいものがほしくて(雑誌掲載時は画像が間違っていた)、vol.4だけ手元にある。調べてみたら、vol.2が品薄なのか(版元在庫切れ?)、Amazonではものすごいプレミア価格になっていて驚いた。表紙のオッパイが効いているんだろうなぁ(苦笑)

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来月はプリムローズのキットが付録。フルドドのように複数買いする貴兄もたくさんいることだろう。
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2006年10月11日

「よつばとひめくり」は来年も

2007も「よつばと」。

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2006年10月05日

マスターピース ゼータ・ガンダム

「ちくしょう、奴ら、とうとうやりやがった。宇宙世紀の住民になっちまいやがった!」

『マスターピース ゼータ・ガンダム』を手にしたときの、最初の心の叫びである。

「狂ってやがる、奴ら、狂ってやがる。あーもう、楽しそうに狂ってやがるなぁ!」

『マスターピース ゼータ・ガンダム』を読み進めるうちにわき出てきた、心の叫びである。

本書を、小松原造型のガンダム写真集としてとらえると大やけどするだろう。意図的なソフトフォーカスの画像に、隔靴掻痒、もどかしさしか感じられないとしたら、それは読者としてはちょっとした不幸である。また、ゼータガンダムというモビルスーツの解説書としてとらえるとしたら、それもまたたいした満足は得られないだろう。ここに記されているのは、あまたある珍説・捏造設定のひとつでしかないからだ。

本書のたのしみは、宇宙世紀(U.C.106年)に片足を突っ込んだままで現実世界を生きている酔狂者たちが本気になって取り組んだフェイクにある。いかにもなソフトフォーカスの画像(宇宙世紀でもこの程度の荒れた画像になっちゃうの?)、折れ曲がったりシワになっているエゥーゴ広報発行のリリースペーパー、裏写りしている新聞紙のスキャン(宇宙世紀でも新聞印刷はこんな線数なの?)。こういった、冷静に考えたらちょっとおかしいんだけど、現実世界と宇宙世紀に共通できるかもしれない「いかにも」のためにあきれるほどの労力をつぎ込んでいる、その編集姿勢やプロセスをたどっていくと、送り手たちのクレイジーさとパッションがページをなぞる指先から伝わってくるのである。

新聞紙のような裏写りしそうな印刷物をスキャンする場合、スキャンする用紙の裏側に黒い紙をひけば裏写りしない。印刷業界の常識である。でも、裏写りしていたほうが新聞っぽいから、わざとそうしているのである(おそらく裏面の記事も作り込んでいると思われる)。新聞独特の網点がばっちり目立つ線数の低い印刷物っぽく、わざわざ画像を加工しているのも、「いかにも」を成立させるためのブリッジとなっている。

宇宙世紀は、ひょっとしたら高解像度の印刷物があたりまえの世界になっていたり、劇場版ゼータで描かれたように電子ペーパーが普及して、新聞紙が消滅している(新聞メディアはあのポワンポワンの電子ペーパーで展開されるはず)かもしれない。しかし、あえてそこまで飛躍はしない。そうしないと、宇宙世紀と現実世界とのブリッジが失われてしまうからだ。

ゼータガンダムのテレビシリーズ放送当時、ウェイブライダーという技術(机上の空論だけど)はまったく世間に知られていなかった。だから、スペースシャトルのオービターがそうしたように、ゼータガンダムは機体底面を突入面に向けて大気圏突入を果たした(リフティングボディによる鈍体突入)。ウェイブライダーという名称は採用されたけれど、その理論は新しすぎて、そのとおりの映像をみせたとしても、ほとんどの人には理解されなかっただろう。ウェイブライダーと現実世界にはブリッジとなるものがまだなかったからだ。当時、スペースシャトルは時代の寵児だったから、しっかりとブリッジとして機能していた。ゼータガンダムのフライングアーマーが黒い色をしているのをみて、「耐熱タイルかな?」と思った貴兄も多いはずだ。

本書が刊行されたとされる宇宙世紀0106年は、現実世界の西暦2006年と並行して存在している。それは、ガンダムの物語がスタートした宇宙世紀0079年が、西暦1979年に世に現れたときから、ずっとそうなのである。

本書を読みながら、あるひとつのエピソードを思い出していた。

いわゆるポケモン、『ポケットモンスター』に「ピカチュウの森」というエピソードがある。旅の途中サトシたち一行は、たくさんのピカチュウが暮らすピカチュウの森にたどり着く。サトシのピカチュウも仲間に加わって、たのしそうに遊んでいるピカチュウたち。「俺も仲間に入れてくれよ〜!」思わず駆け出すサトシ。驚いたピカチュウたちは、ワラワラと森の中に逃げ去ってしまう……。
サトシはピカチュウになりたかったわけではないだろう。電気ネズミになりたいわけではないのだ。ただ、その楽しそうなピカチュウたちと一時を過ごしたかっただけなのだ。

「俺も連れてってくれよ、俺も、宇宙世紀に!」

彼らの仕事にまざりたいとか、そういうわけじゃないんだ。ただ、この本に携わることのできた連中には、素直に嫉妬した。羨望した。そして痺れた。彼らはたしかに、宇宙世紀の空気を吸い込んだ。胸いっぱい。

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2006年08月18日

小松左京『SF魂』

自分でも驚いたのだけど、小松左京氏の著書をいままで一冊も読んだことがなかった(!)。
知っているようで知らなかった、日本のメディアと万博の生き証人のような半生。日本でSFが根付いていく歴史の中には、いろんな人が貢献しているのだろうけど、その中でも小松左京氏の活躍、特に『日本沈没』のヒットというのは大きかったんだなぁと再認識。

あと、小松上京ってキャラクターを手塚治虫御大の漫画で読んだことがあったような…と調べてみたら、どうやら『鳥人大系』という作品だったらしい。実家にまだ残ってるかなぁ。

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2006年08月16日

パーフェクト・アーカイブ「劇場版・機動戦士Ζガンダム」

TVシリーズをベースにして、新訳ゼータがどう変わったのかという視点を徹底した編集方針が興味深い。「●●は、こんなイメージが強いが、劇場版ではこんなカットやあんなカットが追加されていて、印象を新たにしている」といった、根気のいるコメントが随所にみられる。力仕事としてはなかなかのものではないだろうか。

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2006年07月05日

猪俣謙次・加藤智『ガンプラ開発真話〜そして市場勢力図は塗り替えられた』

ガンプラのサクセスストーリー本といえば過去にもいろいろ出ていますが、この『ガンプラ開発真話』はその黎明期からガンプラの開発・販売に携わってきた加藤智氏が自ら当時のことを綴った貴重な一冊。門前払いを続ける創通エージェンシー(ガンダムの商品化権を管理している)に日参して、ついにプラモ化権を獲得するくだりなどは、まさにプロジェクトXを見る思いだ。また、爆発的なガンプラブームの中で身を粉にしてガンプラを製造し続けた現場の人たちの姿にもスポットをあてているところなど、他に類を見ない貴重な内容となっている。
読んでいて、当時のことをいろいろ思い出した。そういえば「プラモ化権獲得!」ってアニメ雑誌などでも高らかに宣言していたな、とか、1/144スケールって初めて聞くサイズだったな、といった「ガンプラ事始め」から、ブームが加熱していく中で自分も西武百貨店の行列に加わったこと、ともだちと集まって工作大会やったこと、「ガンダムのプラモデル買ってきたよ」と母親がドグ・マックのプラモデルを買ってきてくれたこと、レジンを買って波打ち際のズゴックを作ったこと…。その後つかずはなれず付き合ってきたガンプラを巡る出来事の数々。そして、それは現在も進行形なのだ。
加藤氏の本文にも熱いものを感じたが、特別寄稿として掲載された柿沼氏の原稿にはさらにハートを刺激された。自分をカタチ作ってきたそれまでの慣習と新しい潮流との狭間で悩み、苦しみ、そして乗り越えてきた氏の半生に胸をうたれた。
少し長いけれど、ここにその一部を引用する。
柿沼秀樹「特別寄稿:『HOW TO BUILD GUNDAM』への道」より
 当時私が考えたことは、いま若い造形作家たちが事もなげにやってのけている。模型のおもしろさや模型雑誌の意義は、ただ実物の縮尺コピーを目指すことや、実物との差異の指摘だけではなく、自分なりにイメージを描き、そのイメージに、どうアプローチすれば到達できるのか、どういう方法で完成させれば納得のいく結果が得られるのか、という姿勢やその方法を探求することにこそあるのだ。特にガンダムにおいては、どこにも実在しないその対象物を、どう夢想、イメージすべきなのか、その指針を読者やユーザーに提供するところから始めなくてはいけない。「モビルスーツは平気だから陸戦時には迷彩塗装されているはずだ」だけではもう古い。その工程が複雑すぎるためにアニメ本編には導入できないくらいの未来の戦術、戦法、機能が、模型としてのモビルスーツたちには備わっていて欲しい。
 機体に書かれているべき文字や識別章は、友軍のリーダーでしか読み取れないようなマーキング方式を取っているかもしれないし、またくらい宇宙空間での編隊構成時には自らの機体を照らす照明だって必要かもしれない。侵攻中に機種の特定を阻むため、別の機種の装甲を纏って敵を欺瞞するという戦法だってあるかもしれない。
 「HOW TO BUILD GUNDAM」を読み、『ガンプラ』を作って育ったモデラーたちもいまやすでに中年だろう。いまなら読者の低年齢化を危惧することなく新しい「HOW TO BUILD GUNDAM」を編集できるかもしれない。もちろん彼らを奮起させるような新しい挑発を込めて。
1/144ガンダムの金型を使ったペッパーショップの古賀学氏の装丁による表紙デザインもたいへん美しい。
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2006年03月22日

『SF画家加藤直之―美女・メカ・パワードスーツ』

てっきり画集だと思っていたんだけど、実際はハンディなB5判でした。そのおかげで、日々の通勤途中に読むことができたのでありがたかった。

この本は、加藤直之氏の絵づくりに対する姿勢が事細かに記されている。それは、できあがった作品以上に興味深かった。たとえばこんなテキストを拝むことができる。
しかし何と言っても描いていていちばん楽しいのは、被弾して推力も失い宇宙空間を漂っていく戦艦である。被弾してただ爆発炎上するだけではどこにでもある戦闘シーンである。今まで描いたことがないのは? 爆発したり、炎上する時の火の広がり方は? 内部の構造を考えながらどうしたら格好よく壊れていくのかを考える。壊れ方にも美があるのだ。そのコダワリがぼくが絵を描く時の原動力となる。
なんという贅沢だろう。この一文に出会えただけでも買った甲斐があろうというものだ。ちなみに、件の「爆発する宇宙戦艦」は、イラストのごくごく隅っこの小さな爆発に過ぎない。通常なら、気が付くはずもない脇役である。そこに、これだけの理屈と情熱が込められているのだ。

この惜しみない理屈と情熱の投入は、パーワードスーツのイラストにも遺憾なく発揮されている。以下は、WAVEから発売された「1/12機動歩兵」のパッケージアートに関する一節である。
次は背景だ。映画でいう大道具。艦内の通路を進んでいる最中だろうか。いや、それだと通路を新たにデザインしなくてはならない。通路をデザインするためには艦内すべてのデザインポリシーを決めねばならないし、艦内の配置図まで必要になってくる。さすがにそれは面倒である。
さすがにそれは面倒でしょう、と思わずこちらも突っ込みたくなる。背景ひとつ描くだけでも、宇宙戦艦(もちろんここではロジャーヤングだ)の艦内配置図まで設計しなければならないと考えることのできる、加藤直之氏が「SF画家」であることの所以ではないだろうか。

パワードスーツに関しては、かなりのページ数が割かれており、特にキットのパッケージアートに関してはこと細かに詳解されているのだが、最後に、「描かれたパワードスーツと同じポーズをキットで再現できるか」を氏は検証する。答えは、少しだけできない部分があったという。しかし画稿を見比べても、ぼくには違いが分からなかった。氏の指摘しているのはカトキハジメ氏が言うところの「マッハの戦い」の領域である。
それならなぜ最初から写真を使わなかったのか。その答えは簡単だ。描いていて楽しくないからである。絵に写し取るだけなら写真を加工すれば事足りるが、それでは写真に撮れないものは絵に描けないことになる。常に訓練していなければだんだん能力は落ちていく。仕上げを大事にするイラストレーターである自分と、描く意欲を大切にする自分。「絵を描く意欲」が勝利することは、ぼくにとって珍しいことではない。ビジネスとしては落第スレスレな感じだ。しかしいったんはトレースしないで完成させている。「正確」な絵を一度見ておきたい欲求に負けた。
さて、冒頭に書いた判型についても、あとがきでしっかり言及されていた。
最初は大きな判型も考えていましたが、すぐにやめました。大きくしたら薄くなるし棚にも入らないので、いつのまにかまぎれてしまいます。
ぼくは、ぼく自身がもっとも読みたくなる本を作りました。
皆さん、この本はコミック本やSFマガジンと同じ棚に置いてください。そして時々と言わずいつでも手元に置いて目を通してください。
きちんと意図された仕上がりであることに、あらためて感心。


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2006年03月01日

倉田英之『R.O.D』第十一巻

読子・リードマン、十九歳。ドニーと出会ってから5年目、いよいよ特殊工作部へ。紙使いの能力に、いまだ本人は気付くことなく…。

あまねく名作という奴は、ラス前に過去を振り返り、その原点を問うと相場が決まっているようです。『R.O.D』もご多分に漏れず、過去と現在の話がいったりきたり。ここに来てまだふろしきを広げようとしている倉田英之は怪人か。

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2006年02月23日

『横山宏 Ma.K.スケッチブック〈vol.1〉』

横山宏氏のスケッチ集が出ることは知ってたけど、もう出ているとは。気が付けば、何も考えずにレジの前に立っていましたよ?

マシーネン・クリーガー関連はSF3D時代のものもちらほら。全ページに本人の解説テキストが掲載されているんだけど、「映画の打合せのときの…」と書かれているのはひょっとして「あの映画」のことだろうか。ホビージャパンのイベントで昔むかし観たときはアゴが外れたなぁ(笑) 戦闘機関係のスケッチでは、さりげなく「雪風」も。ああうれし涙。

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2006年02月22日

ダン・ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード ヴィジュアル愛蔵版』

普段ミステリはあまり読まないんだけど、『ダ・ヴィンチ・コード』のことは少し気になってた。上下巻で刊行されたときから、いかにも「これはヒットしますよ。話題になりますよ」といった出版業界の気合いが見て取れたし、それに乗ってみるのもわるくないかなと。…思っただけですっかり忘れてました。知らないうちに映画が制作されていて「劇場公開決定」の帯が付くようになって、知らないうちにこのヴィジュアル愛蔵版も刊行されていた。

作中に登場する美術作品や建築物などの写真が140点掲載されている。これらの実物の写真を参照しながら読み進められるという贅沢が気に入って購入した。やぁ、これはおもしろい。

作中で主人公たちは徹夜で「ダ・ヴィンチの仕掛けた謎が…」「教会の隠された真実が…」と語り合っているのだけど(眠くないのか?)、読んでいるこちらもつい時間を忘れて読みふけってしまう。いやはやミステリはこれだからあぶない。

実在の建築物、実在の美術作品、実在した人物たちがバンバン登場しながら、たったひとつの法螺を成立させるためにリアルな考証が積み重ねられていく様子は、それだけでスリリングな体験だと言えるだろう。これ書くの大変だったろうけど、楽しかっただろうなぁと思った。

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今年に入ってすっかりブ厚い本づいてる。春にはハリポタの新刊も出るんだよね。
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2006年02月21日

よつばとひめくり2006

今月10日に発売された「よつばと!」のひめくりカレンダー。「ひめくりあずまんが」から数えると、けっこう毎日めくってることになるなぁ。

わが家では4月までは開封しないしきたりなので(?)、あと一カ月ほどは中味を確認できなかったりするのだな。

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2006年02月04日

あさりよしとお『荒野の蒸気娘』第一巻

二〇世紀の終わり頃、友人たちと岸和田のシネコンまででかけて『アイアンジャイアント』を観た。涙がとまらなかった。そのとき確信した。これから日本ではコミックやアニメにおいて、『アイアンジャイアント』にインスパイアされた作品が大量に登場するだろうと。「純粋な心を持ったロボットと“美少女”の物語」が雨後の筍のように出てくるだろうと。

しかし、奇妙なことに(あるいは思いのほかクリエイターたちは冷静だったのか)、そのような現象は起こらなかった。そんな作品はほとんどあらわれなかったのだ。

しかし、あさり御大はやってくれた。『純粋な“美少女”の心を持ったロボット』という、あきれるほどの変化球でもって。外見は無骨なロボット、内面は純粋無垢な美少女。いやはや、おそれいりました。この先の展開を思って、ちょっぴり泣きました。

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2006年01月30日

とだ勝之『F.C.ジンガ』第一巻

とだ勝之さんといえば『猫 ミック』がわりとお気に入りだったんだけど、他の作品はなかなか読む機会がなくて、今回、新刊が出たのを機に買ってみたんですよ。

クラスでは目立たないジンガくん、放課後はサッカー小僧となって大活躍…なんだけど、開始地点では仲間はひとりもいなくて、練習場所はさびれた商店街。一人、二人と友達ができていくだけで感動し、感激する彼なんだけど、そういった逆境のいやったらしさがオモテに出ない作風は、読んでいて安心できるし、純粋に楽しめる。『メジャー』のように熱く上り詰めていくような作品ではないかもしれないけど、子供たちがイキイキとしている様子が雄弁に語られるとだ作品は、ステキだ。

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2006年01月13日

唐沢なをき『さちことねこさま』第三巻

最終巻はドトウの展開、そしてきれいに大団円。惜しげもなく新キャラを登場させ、なおかつ既存のキャラクターも上手に再登場させている。読者が間違いなく忘れているだろう端役(笑)をこれでもかと絡ませてくるあたりは、よくもまぁ多忙にもかかわらず面倒なことをやるもんだと感心するばかり。

それと、漫画的に抽象化されたキャラクターであるにもかかわらず、さちこのメガネだけはきっちりとディテールが与えられた作画は、メガネフェチならずともフェティッシュなものをビシビシ感じることができるだろう。アンバランスさを愛らしさにまで昇華させた成功例といえるだろう。つーか好きだ(笑)

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2005年12月12日

とり・みき『るんるんカンパニー』

もしボクが突然こどもになって「将来のどんな大人になりたいか」と訪ねられたら、「秋田冒険王先生になりたい」と答えるだろう。彼は、ボクのヒーローだ。

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鏡に映った自分の姿をみるとき、ボクは不思議でならない。どうしてボクは蝶ネクタイをしていないんだろう。どうしてボクは白いスーツを着ていないんだろう。どうしてボクはあのステキなヘアスタイルをしていないんだろう。

それはきっと、ボクには弟がいないからだ。ボクが次男坊として生まれたからかもしれない。だから彼のセリフはボクのあこがれだ。さぁ、涙を流して叫ぼう。

「弟よ!」
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2005年11月25日

野村弘明『それでも私はpalmを使う―英語版palmを使い倒す方法の全て!』

なんと心意気あふれるタイトルでしょう。不退転、そんな言葉が脳裏に浮かびます。ソニーが焼け野原にしてしまった日本のPalm市場だけど(言い過ぎ?)、元々パームの世界は英語版を日本語化して使ってきたわけで、「ソニー以前」の状況に回復したのだと考える人だっているかもしれない。

かく言うボクは、TH-55 をいまも快適に使っている。マンダラートが使えること、T-Time 互換の読書環境(Pook)があること、この二つがあるかぎり Palm は伴侶であり続けるだろう。

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2005年11月16日

西島大介『土曜日の実験室―詩と批評とあと何か』

西島大介のトンガリ具合は、まったく今が旬なんだと思う。ユリイカの黒田硫黄特集で発表した短編で、ヒロインが「私の名前は黒田硫黄。漫画家でテロリスト」と名乗るところなどは、当時びりびりとしびれたものだが、気が付くと当の黒田はすっかりナリを潜めていて、地獄の潜水生活を謳歌しているわけで。

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2005年11月05日

本田透『アストロ!乙女塾!』

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『マンガでわかる小説入門』でさんざん批判される「文章の視点のブレ」がこれでもかと展開されるすばらしい作品。なにしろ文章修行において襟を正して兜の緒を締め直したばかりの状態のときに読み始めたものだから、頭が痛くなることしきり。しかし気が付けば、横溢する本田ルサンチマンがすっかり馴染んできて、キャラクターがつっぱしり始める頃には楽しい読書の時間となっていた。
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すがやみつる・横山えいじ『マンガでわかる小説入門』

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このタイトルを聞いたときは「とうとう小説の書き方まで漫画でないと説明できない時代になってしまったか」とあきれたものだが、それもまたよし、横山えいじ様の新刊とあらばなおのことよし、と飛びつく。すがやみつる氏のするどい視点は、文章修行を志す諸兄にはたいへん役立つことと思う。

読んでいて興味深かったのは、主人公が繰り返し「君はなぜ書くのか?」と問われること。業界スレしてしまった先輩が、書くことに対する情熱を失ってしまったと自己分析している姿もグサリときた。

「人はなぜ生きるのか?」。人生の局面において、繰り返し問われ、自問するだろう。人生の仕組みとか裏側の事情とか、そんなものばかり頭に入れてばかりの現代人は「生きる」という行為そのものにスレてしまっているのではないか。生きることは苦しみ続けることかもしれない。が、それでも生きるのだ。気が付けば、生きること自体が楽しくて仕方ない。そんな大先輩たちを見習いたい。
posted by 多村えーてる at 13:01| 奈良 ☀| Comment(0) | TrackBack(2) | BOOKS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする